首都圏のマンションは局地的な不動産バブルが続き、新築のみならず中古の価格も高騰しているが、「それも限界に達してきた」と指摘するのは住宅ジャーナリストの榊淳司氏だ。新築の完成在庫が増え、中古の値崩れが始まる──いよいよマンション市場は“踊り場”にさしかかっているのかもしれない。
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マンション購入に悩む人々から「新築と中古のどちらが良いのか」ということをよく聞かれる。しかし、そこに明解な答えはない。新築の場合は一見ピカピカだが欠陥建築である可能性がある。管理組合の運営がどうなるのかも分からない。
一方、中古のほうが価格は安く、現物を見て決められるため選択肢も多い。しかし売り主が個人の場合は保証が付かない場合がほとんど。また購入する際には仲介手数料が発生する。
結局、新築と中古のどちらが良いということよりも、物件次第ということになる。
ただ価格面だけを考えると、中古になる。従来、新築と中古の価格差は都心ではほんの僅かしかなかった。東京都港区の青山あたりだと中古のほうが高くなったりもした。
この価格差は都心から離れれば離れるほど広がっていく。現在、埼玉県なら大宮以遠、千葉県なら千葉市以遠のエリアでは、新築マンションの開発事業が成り立たなくなっている。その理由は新築と中古の価格差があり過ぎるので、新たにマンションを開発しても販売できる見通しが立たないからだ。
現在新築マンションを建設するためには1戸あたり2000万円超の建築コストがかかる。しかし、郊外遠隔地に行くと築10年ほどの中古マンションが数百万円から1000万円程度で流通している。そういう所で、販売価格が安くても2000万円台中後半の新築マンションを販売しても、なかなか売れない。だから開発もされていないのだ。
この新築と中古の価格差が現在、都心エリアにも及んできた。理由は、いうまでもなく局地バブル的な地価の高騰と、高止まりした建築費だ。