彼女たちが出演するという「ファッションショー」もこれまでに実際に数回は行われたことがあるというが、ショーでカメラマンとして動いた経験がある男性(四十代)もまた「シングルマザーにつけ込んだひどいイベント」と切り捨てる。
「シングルマザーが輝ける、などと言って、女性たちからウォーキング代とか衣装代、ヘアメイク代と金を徴収し、どうしようもないショーをしているだけです。中小企業の男性社長なんかがたくさんやってきて、女性の品定めみたいなこともしており、バックヤードでは”あれは俺のオンナ”などといって酒を飲み盛り上がっています。
容姿に自信がない女性でもショーに出られるのは、言われるがままに風俗で働きながらセミナーが勧める投資案件に金を預けているから。この投資では多くの女性が損をしたとかなりのクレームが出ているのに放置されています。みんな借金抱えて風俗で働く羽目になり、余裕もないからか訴え出ることもできないと。僕のギャラだってほとんど踏み倒されたようなもので、文句を言うと着信拒否され、まともに取り合ってくれない。ひどい連中です」(カメラマンの男性)
筆者も以前、ファッションショーと銘打ち、出演者の若い女性達からカネを集めるだけのグループについて取材し、取り上げてきた。社会について無知な若い女性、ようするに”弱者”を狙い撃ちにした許されざる所業だったが、今回のターゲットは「シングルマザー」。
どちらが「かわいそう」などと比較はできないが、事情がありシングルになり、一人で頑張って子育てそしている女性につけ入って騙し、カネだけでなく性まで搾取しようとする卑劣さには、言葉も出ない。同様の事件を取材する週刊誌記者が解説する。
「SNSが使いやすくなって普及したことで、こうした形で犯罪に巻き込まれてしまう、被害を受けてしまう人々が増えました。そういった人たちの多くが、若者やシングルマザー、お年寄りといった弱者です。SNSはプロフィールや生活ぶりが見えるので、ターゲットが弱者であるかどうかの判別がしやすい。つらい立場に置かれた人にアプローチして、幸せとかカネとか聞こえのいいことを言って誘い出すんです。
ここで先行投資して仲間に広めれば、あなたは利益を得られると言って誘う仕組みはマルチまがい商法そのものです。扱うのが商品なのかインチキなファッションショーなのか、あるいは投資商品なのか性なのか、とい違いしかありません。被害者が被害者を呼ぶ仕組みもそのままです。手を変え品を変え、よくやるもんだと思いますよ」
類似の事案はほかにも数ある(週刊誌記者)というが、いずれも被害者たちの多くが泣き寝入りしている。というのも、彼女たちには対抗できる「知識」が無く、日々を生きるのに精いっぱいで、自分たちから搾取するグループを相手に戦ったり、訴訟に費やすパワーも残っていないからだという。