憲政史上初となる天皇の譲位によって、皇室には前例のない数々の変化が訪れる。そのなかでも、とりわけ大きく変わると考えられるのが、天皇家の「お金」である。膨大な量の開示資料から、その一端が垣間見えてきた。
例えば、天皇皇后の行幸啓や皇太子の地方視察など国内の公務で鉄道を利用する際は、一両丸ごと借り上げる。
2016年7月に皇太子一家が神武天皇山陵参拝のために京都・奈良に足を運んだ時には、「御乗用列車」(皇族が利用する臨時列車)が運行され、東京~京都~橿原神宮間の「御乗用列車座席借上料」として約65万円が支払われた。対して、秋篠宮家の地方視察では一般客と一緒に新幹線グリーン車を利用している。
また、天皇皇后が視察先の県知事らと食事をした際の代金は1人あたり8000円。対して、皇太子夫妻は1人あたり7000円とされており、1000円の“傾斜”がつけられていた。
皇室ならではの慣例もある。天皇皇后は、2016年秋、東日本大震災の被災地視察のため岩手県を訪れた。宿泊したのは、「三陸花ホテルはまぎく」と「ホテル千秋閣」に2泊ずつ。代金は、「報償費」として92万円が支払われた。
「天皇皇后に代金を請求するのが憚られた時代の名残で、お礼の意味合いのある『報償費』として宿泊代金と従業員への手当を合わせて支払っている」(宮内庁関係者)
※週刊ポスト2018年9月21・28日号