6月18日に、最大震度6弱を記録した大阪北部地震において、高槻市立寿栄小学校に通っていた小学4年生の女児を圧死させたのは、建築基準法に違反したブロック塀だった。 高さ3.5mのうち、コンクリートのブロック8段で組まれた1.6mの上段部分が、約40mにわたって通路側に倒れている映像は、日本中に大きな衝撃を与えた。
ブロック塀診断の第一人者で、エコ・グリーン設計代表取締役の小林徹さんは、ブロック塀がどれほど危険なのかを具体的に説明する。
「ブロックは縦20㎝×横40㎝で、重さは15㎏前後になります。想像してみてください。ブロックを10段積み重ねると、2mで150kg。それが倒れて来たら、子供はもちろん、大人だってひとたまりもありません」
ブロック塀に対する関心が高まっている今こそ、他人事と思わず、自分の家の塀を点検してほしいと、小林さん。
「今までは多くの人が、ブロック塀に対する知識も興味もなかった。しかし今では、自宅の塀が倒れることで、自分が加害者になり得ることも理解されてきました。“うちは大丈夫”という根拠のない自信は捨ててほしい。それによって、自分や周辺の人の命を救うことになります。
『うちのブロック塀は東日本大震災でも、グラグラしたけど倒れなかったから、これからも大丈夫』などと言う人がいますが、それは希望的観測。塀は本来グラグラしてはいけないものですから、100%倒れます。大至急改修してください」
さらに小林さんは、高い塀は防犯の意味でも危険だと警鐘を鳴らす。
「バブルの時代は、隣より高くしようと見栄を張って、ブロックを積み上げたケースもありました。確かにプライバシー保護にはなりますが、塀の内側に侵入した泥棒の姿も隠してしまいます。今は犯罪抑止として防犯カメラもあります。10年ほど前から、塀は80㎝くらいの高さにして、その上にフェンスをつけるのが主流です」
自然環境を考えれば、境界部は生け垣が理想的。しかし剪定などの維持管理費がかかるため、普及しづらい。
では、ブロック塀の点検や改修の費用は、いくらぐらいなのだろうか。小林さんの話。
「ケースによってかなり違いますが、診断料は2万円から。見た目には問題がない塀でも、20年以上経過した塀は点検していただきたいですね。撤去する場合は、高さ2m、長さ10mのブロック塀で、15万円程度が目安です」
この撤去費用は、重機を使用し、地中のコンクリートの解体がない場合。ブロック塀の種類や作業環境によって、解体費は大きく異なる。
「必ずしも、すべて壊す必要はありません。80㎝くらいの高さで切るなど、予算に合わせた方法もあります。まずはブロック塀を無害にすることが大事です。専門家に相談してください。弊社へのブロック塀診断の問い合わせは、大阪北部地震後には30倍に増えました」
※女性セブン2018年9月27日号