8月31日、厚生労働省研究班の調査でネット依存が疑われる中高生は93万人という推計が発表された。同調査の意味とともに、中高生がネット依存になったらどのような状態になるのか、ネット依存はどうすれば治せるのかについて、ITジャーナリストの高橋暁子氏が解説する。
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◆93万人は「診断が必要な中高生の数」
若者のネット依存は注目が高いテーマだ。2013年に、同じく厚生労働省研究班の調査でネット依存の中高生が51万人という調査結果が発表されている。前回は専門家が参加していなかったが、今回は研究班にネット依存外来を持つ国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長が参加しており、調査結果として参考にすべきものとなっている。
ただし、この数字は米国の心理学者キンバリー・ヤング博士が作成した診断質問表で判定した結果から、その割合を全国の中高生の生徒数に当てはめて出したものだ。しかしヤング博士の元の説明では、「8項目中5項目に該当した場合は診断をうける必要があると考えられる」となっており、5項目以上に該当しても「ネット依存」「病的」とはされていない。あくまで、「診断が必要な中高生が全国で93万人いることがわかった」と考えるべきではないだろうか。
◆ネット依存とはどのような状態か?
そもそも依存症とは、日常生活に支障が出ているにもかかわらず、対象にのめりこんでやめられず、自分ではコントロールできない状態を指す。つまりネット依存とは、人間関係、健康、社会生活などに支障が出ているにもかかわらず、ネット利用を優先してしまうことを指すのだ。支障が出ない範囲でコントロールして利用できているのであれば、ネット依存症とまでは言えないのではないか。
スマホは現状、SNSやゲーム、音楽、動画、ニュース、地図や乗換アプリなど、ありとあらゆることに利用されるようになっている。高校生では学内でもスマホ利用が禁止されていないことが多く、所持率も100%近い。用途が多種多様なことを考えると、単に長時間スマホを利用しているというだけでは、いわゆる依存状態とは異なると言えそうだ。
◆男女別ネット依存の症状とは
一般的に、女子はSNSにはまりやすく、男子はゲームに熱中しやすい傾向にある。女子はコミュニケーションを好み、男子は好戦的で勝負に熱中する傾向にあるためだ。
たとえばネット依存状態となった女子中高生は、四六時中何をするときもスマホを利用しながらするようになる。SNSでの返信が気になってお風呂、トイレ、布団の中などにもスマホを持ち込むのだ。