V6岡田准一(37才)にとって新境地となるか――。9月28日公開の映画『散り椿』が早くも注目を集めている。木村大作監督がメガホンをとり、主演の岡田は“純愛を貫く侍”を演じる。一足先に試写会でチェックしてきたコラムニストのペリー荻野さんが岡田のこれまでにない役どころについて解説する。
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先日放送された、テレビ朝日系『ミュージックステーション ウルトラFES 2018』で、久しぶりに『WAになっておどろう』を歌い踊るV6の映像を見た。1998年の長野五輪テーマ曲となった当時の映像なので、当然、メンバー全員若々しいが、中でもティーンエイジャーの岡田准一がにこやかに軽やかに実に楽しそうな表情だったのが印象的。本当に踊りや歌を愛してます!ということを全身で無邪気に表現しているのである。
思えば、近年、岡田准一の映像作品は、代表作ドラマ『SP』シリーズ(フジテレビ系)はじめ、乱世の荒波に翻弄される主人公を演じたNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』、腹黒家康と激突する石田三成を演じた映画『関ヶ原』など、とても無邪気じゃやってられない緊迫感いっぱいの内容のものが多かった。
しかし、9月28日に公開される新作映画『散り椿』は、趣が違う。ここで岡田が演じるのは、凄腕の剣豪にして“純愛侍”という愛すべき男である。
岡田演じる瓜生新兵衛は、かつて藩の不正を訴えたが受け入れられず、愛妻・篠(麻生久美子)とともに藩を出た。しかし、死期が迫った篠にある男を助けてほしいと言われ、久しぶりに故郷へ帰る。ある男とは、かつての道場仲間であり、篠の元許嫁の榊原采女(西島秀俊)だった。
恋敵を助けてと言われてるよ、俺…と普通は思う。でも、新兵衛は、自分の頼みを聞いてくれたら「おほめ致しますとも」と言う妻の言葉を聞いて動き出すのだ。なんて優しい。なんて奥さんを純粋に愛しているんでしょうか、この無骨侍は!
新兵衛と篠の会話シーンは、予告編にも出てくるが、最愛の人に「ほめてくれるか」と聞く新兵衛には、死にゆく妻を見つめなければならない哀しさと彼女をひたすら愛する無邪気さが漂う。出たぞ、久々の無邪気。この表情がいい。