首都圏ではいまや5人に1人が中学受験をする時代──。もちろん、子供に難関私立や国立、進学実績のいい公立の中高一貫校などを目指せる学力があればいいが、模擬試験の偏差値で遠く及ばない場合、それでも中堅以下の学校にランクを落として中学受験をさせるべきなのか。安田教育研究所の安田理氏がアドバイスする。
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7月、9月と模擬試験を受けたところ、わが子の取ってきた偏差値が40前後だった(Y偏差値と言われる四谷大塚、N偏差値と言われる日能研)。親御さんとしてはショックと同時に、このまま受験勉強を続けても伸びなかった場合にこのレベルの私立中学に進学させるか、迷われるケースが多い。お子さんがこうしたとき、どう考えたらいいのだろうか。
◆中学受験の偏差値は小学校のトップ層でも低く出る
ご自分ないしわが子で中学受験を経験されていない一般の方は、学費のかからない公立中学があるのにわざわざ高い学費を払って中学受験をするというと、男子校の開成・麻布・武蔵、女子校の桜蔭、女子学院、雙葉といった「御三家」と呼ばれる進学校、早稲田系、慶應系などの有名私立大学付属校を目指しているのだろうと、想像される方が未だに少なくない。
だが、そうした学校に進む子は全体からすればほんの一握りに過ぎない。圧倒的多数は、中学受験の偏差値表を見たことがない方は校名も知らないその他の学校に進む(もちろん70、60といった高偏差値を取る子もいる)。
偏差値というと、真ん中の成績であれば「50」ということは誰もが知っている。しかし、あくまで偏差値というのはそのテストを受けた集団の中での相対的位置づけ。したがって高校受験のように中学校での成績が2や1ばかりの受験生もが受けるテストで出る偏差値と中学受験の偏差値はまるで違う。小学校の成績上位者であっても「40」を取ることはザラにある。このことをまず押さえておきたい。
◆受験に臨む姿勢、入試自体も多様化している
難関進学校や有名私大付属校を考えている層はいまでも大手進学塾に小3の3学期から通って、国語・算数・理科・社会の4科を勉強している。
一方、リーマンショック以降、進学塾に入塾する時期が遅くなったり、そもそも通わなかったりという受験層が増えてきている。また、以前だったら受験生活に入った段階で、お稽古事、スポーツクラブを辞めていたものが、小6でも続けさせるというご家庭もある。こうした「ゆるい受験」のしかたが広がってきているのが最近の傾向だ。
私立中学側もそうした受験生の変化、大学入試の変化を受けて、これまでの2科、4科という入試科目から、英語入試、思考力テスト、表現力入試、総合型入試……とさまざまな入試を実施するようになっている。こうした入試はどちらかというと易しい学校で実施しているケースが多い。代表的なものをいくつか挙げてみよう。
・聖学院/思考力ものづくり
・女子聖学院/英語表現力、日本語表現力
・女子美術大学付属/自己表現入試
・桐朋女子/論理的思考力&発想力入試
・桜美林/総合学力評価
・かえつ有明/思考力入試