「終活」。人生の残された時間と向き合うことで、第2の人生を豊かに過ごすきっかけとなる言葉だ。それは、著名人も同じ。俳優・歌手の黒沢年雄(74)が語った。
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僕の終活は、既に終わらせています。もう理想の人生だったと言える状態です。
子供の頃は戦後だから貧しかったけれど、その後に食べたいものはすべて食べ、行きたいところには行き、着たい服もぜんぶ着た。唯一、野球選手になるという夢は叶えられなかったけれど、その後に目指した俳優として仕事ができて全部が叶った。
今ある財産といえば、家が2軒あるだけ。財産はほかにはありません。家は僕と女房の共同名義になっているので、僕が死んだら妻の物になり、やがて娘に渡っていくことになります。税理士さんに僕の資産を全部見て試算してもらい、相続税の心配もいらないようにしてもらった。
体のことでは、かつて患ったがんは治りました。今は定期検診を受けていますが、またがんになることもあるかもしれない。もしそうなったら、大掛かりな治療や大手術はしません。これは家族に伝えています。そこまでして長生きしたくないからです。ものが食べられなくなったら点滴などせずに、そのまま死のうと決めています。今、死ねたら本望ですよ。理想の人生を歩んできましたから。