9月20日に投開票される自民党総裁選で、安倍晋三首相(63才)が石破茂元幹事長(61才)との一騎打ちを制して3選することが確実視されている。その結果、来年11月20日には、首相在籍日数で歴代1位・2886日の桂太郎(1848~1913年)を抜き、日本の憲政史上で最長の政権が誕生することになる。
良くも悪くも最長政権となる安倍政権が最も得意とする手腕の1つが、記者クラブ加盟社への“コミュニケーション戦略”だ。
記者クラブとは、新聞、テレビなど大手メディアが加入する任意団体で、首相や大臣、国会議員などはクラブを通じて情報をやり取りする。
「第1次政権を投げ出してメディアから散々叩かれたトラウマから、第2次政権で安倍首相は記者クラブに対する『コミュニケーション戦略』を徹底するようになった。その手法はトップを押さえること。たとえば報道各社の社長や役員と会食やゴルフをすれば、現場の記者は“トップと親しい安倍さんの悪口は書けない”と忖度し萎縮する。また親しい記者に情報をリークして世論を誘導するのもお手の物です」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫さん)
3選でメディアの忖度がさらに強まる、と指摘するのはジャーナリストの青木理さんだ。
「本来は権力を厳しくチェックするのがメディアの役割ですが、今の一部のメディアは完全なる『安倍応援団』です。たとえば森友学園問題で官僚が国会に提出する文書を改竄したのは前代未聞の犯罪ですが、“御用メディア”は追及しない。メディアの批判がないと政策の問題点が伝わらず、国民の生活に悪影響が及びます」
私たちは日々のニュースとどう接すればいいのか。
「記者クラブ発の“官製スクープ”をうのみにせず、記者クラブに加盟していない雑誌や海外メディアの報道もチェックする。1つの情報のみに頼らず、複数のメディアを見る習慣をつけることも効果的です」(鈴木さん)
3選後は波乱含みでもある。
「党の規則で3期目は最後の任期なので、“もう次はないから安倍首相に従わなくてもいいや”との空気が永田町やメディアに生まれる可能性があります。これまでのような求心力はなくなるかもしれません」(鈴木さん)
※女性セブン2018年10月4日号