国際情報

中国でススメバチに刺されて死亡の会社員、巣を落とした動機

中国ではスズメバチが人を襲う事件が頻発している(写真:アフロ)

 ことの顛末を聞くと、嘆息するしかない事件である。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 いったい誰にそそのかされたのか。浙江省で二人の男が大スズメバチに襲われ、うち一人が死亡するという事件が起きた。スズメバチに襲われるという被害は、日本でも珍しくない。とくに晩夏から秋にかけては最も警戒すべき時期だ。このことは中国も同じである。

 しかし、今回のケースは少し一般の被害とは事情が異なっている。というのも二人の被害者は自ら進んで大スズメバチの巣に近づいたというのだ。いったいなぜそんな無謀な冒険に向かったのか。

「精力剤のためですよ」

 と語るのは北京のメディア関係者だ。

「新鮮なスズメバチの幼虫は何よりも精力剤だという話を耳にした、今年52歳の石さんと会社の同僚で30歳の後輩が、退社後にスズメバチの巣を探して山に入ったのです」

 夜8時に退社した二人は、山に入って間もなくスズメバチの巣を見つけた。そこで近くにあった枝を使って簡単に巣を落とすことに成功した。

 そして二人は、その場で幼虫を夢中になって口に放り込み始めた。

 しかし、相手は獰猛で知られる大スズメバチである。瞬く間に彼らは取り囲まれて徹底的に刺されたという。

 スズメバチによるあまりに激しい攻撃に、二人はそれ以上幼虫を食べることを諦めて下山。その日は大人しく寝たというのだが、朝になると刺された個所からの痛みが激しさを増し、耐えられないほどになった。そこで二人はそろって病院に向かったのだが、治療を始めて間もなく、若い後輩の容体が急変。あっという間に死んでしまった。刺されてから12時間後のことだ。

 同じく石さんの病状も悪化し、心拍数がわずか35という危機的状況に陥ったためICUに入れられた。現地の医師によれば、スズメバチによる被害は毎年同病院でも二、三例が報告されているというが、「今回のような動機というのは初めてだ」と驚いたという。

関連キーワード

トピックス

「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン