2018年10月5日~2019年2月3日にかけ、上野の森美術館で『フェルメール展』が開催される。ヨハネス・フェルメールは寡作で知られ、現存作は35点とも言われる。
今回の『フェルメール展』では、9作品が東京に集まる(『赤い帽子の娘』は10月5日~12月20日まで、『取り持ち女』は2019年1月9日~2月3日までの期間限定の展示)。これは日本美術展史上初だ。
上野の森美術館学芸員の坂元暁美さんは、「パンや布の質感が触れそうなほどリアルで、緻密さに息を呑みます」と、彼の魅力を説く。
また、アート観賞ナビゲーター藤田令伊さんは、「解説の答え合わせではなく、自分の眼と心で向き合い、その絵に隠された“何か”に気づいてほしい。発見の喜びを感じた時、初めてフェルメールの真髄に近づけるはず」。
そんな2人に『牛乳を注ぐ女』(1658~1660年頃)の観賞ポイントを聞いてみた。
「“光の魔術師”と称されるほど、光の描き方がとても繊細。壁には釘を抜いた跡まで緻密に描き込まれ、カメラのように正確な視点を感じます。高価な天然石・ラピスラズリを原料にした“フェルメール・ブルー”も必見。実物は100倍くらい、見る喜びに溢れていますよ」(坂元さん)
では、自分の目で楽しむ方法とは?ヒントを紹介しよう。
【1】対角線を引いてみよう
斜めに1本対角線を引いてみる。少し遠目から見てみると、何かにハッと気付くかも…?
【2】細部をよく見て言葉にしてみる
何気なく見ている時は、脳がしっかり理解していない。言語化すると脳の認知機能が働き、気づかなかったものが見えてきて、新たな発見が!
●窓に注目すると
「窓が少し欠けスポットライトのように女性を照らします」(藤田さん)
●パンに注目すると
「パン表面に細かい光の粒が描かれキラキラ輝いて見えます」(坂元さん)
「対角線を引くと、右上半分は明るくシンプル、左下半分は暗く雑多な空間であることが分かります。僕なりの見解ですが、左上からの光は宗教画で“聖なる光”を表し、赤に青を重ねる衣装は“聖母マリア”の象徴。静かに流れる牛乳は、聖界から俗界に恵みを注いでいるようにも見えてきます」(藤田さん)
※女性セブン2018年10月4日号