日本では毎年約10万人もの人が心臓性の突然死に見舞われているという。いつ襲ってくるか分からない心臓発作に対策などないと思われがちだが、実は「食生活」で予防できるという。突然死を遠ざける「食べ物」とは。
突然死は心室細動や心房細動などの「キラー不整脈」によって引き起こされるケースがほとんど。これらを防ぐには、「強い心臓」を作るしかない。心臓血管研究所所長の山下武志医師が指摘する。
「心臓を“エンジン”に喩えると、『強い心臓』とは、大きくて馬力のあるエンジンのことではありません。F1マシンのように早く走れるエンジンであっても、レース中に火を噴いてしまうようでは脆い。
ゆっくりでも常にスムーズに、効率よく回っているのが理想です。こうした『強い心臓』を作り上げる効果を持つ食材が、近年の研究によって明らかになってきました」
【1日50ミリリットルのオリーブオイル】
不整脈のリスクを下げる食材の代表格が「オリーブオイル」だ。
「スペインの調査で、エクストラバージンオリーブオイルを1日50ミリリットル以上摂取している人は、全く摂取しない人に比べ、心房細動の発症リスクが約4割低かったという研究結果があります。オリーブオイルに含まれるオレイン酸やポリフェノールには動脈硬化の予防作用があり、これが心疾患のリスクを抑えていると考えられています」(山下医師)