いつの間に、こんなに強くなっていたのか。世界選手権での優勝や、アジア大会での団体金など、バドミントン、とくに女子ダブルスの強さに驚かされている人は多いのではないか。日本のバドミントンが世界の強豪国になりつつあるその背景について、ライターの小野哲史氏がレポートする。
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今、バドミントンの国際大会における日本勢の活躍が目覚ましい。
8月のインドネシア・ジャカルタでのアジア競技大会では、女子団体で日本チームが大会5連覇中だった最強・中国を破って48年ぶりの優勝を手にした。その約3週間前に地元開催となった世界選手権で、日本勢の凄まじいまでの興隆を目の当たりにした中国は、地元紙が次のような主旨の記事を報じたという。
「現在、バドミントン界は群雄割拠の状態。ライバルは日本だけではないが、東京オリンピックをホームで迎える日本は今後、さらに強くなるだろう。日本を研究し攻略することが、これからの中国ナショナルチームの主要な務めの一つになる」
男子シングルスで桃田賢斗(NTT東日本)が今年の世界選手権を制し、女子シングルスでもリオデジャネイロオリンピック銅メダリストの奥原希望(日本ユニシス)や、4月に日本人選手として男女を通じて初めて世界ランキング1位になった山口茜(再春館製薬所)が国際舞台で奮闘している。男子ダブルスでは、園田啓悟・嘉村健士組(トナミ運輸)が世界選手権で2大会連続メダルとなる銀メダルを獲得した。
そうした中で有力選手がひしめき、活況を呈しているのが、分厚い選手層を誇る女子ダブルスである。2年前のリオデジャネイロオリンピックで、「タカマツ」ペアこと、高橋礼華・松友美佐紀組(日本ユニシス)が決勝戦で大逆転の末に金メダルに輝いたのは記憶に新しい。今年の世界選手権では、日本勢4番手のポジションにいた初出場の永原和可那・松本麻佑組(北都銀行)が3回戦でタカマツペアを下し、勢いそのままに決勝では世界ランキング1位の福島由紀・広田彩花組(フクヒロ/岐阜トリッキーパンダース)を破って優勝。3位にも米元小春・田中志穂組(北都銀行)が入り、日本勢が金銀銅メダルを獲得する快挙を成し遂げた。
9月20日時点の世界ランキングでは、1位のフクヒロペアを筆頭に、4位タカマツ、5位米元・田中、6位永原・松本、10位髙畑祐紀子・櫻本絢子(ヨネックス)と、10位までの実に半数を日本ペアが占めている。一体なぜ、これほどまでに強くなったのか。
日本の黄金時代の到来とも言えるこうした盛況は、一朝一夕で形成されたものでも、偶然の産物でもない。近年の日本隆盛の礎を築いたのは、2004年11月にナショナルチームのヘッドコーチに就任した朴柱奉(パク・ジュボン)氏だと言われる。バドミントン関係者やファンの間では、よく知られた話だ。