台所で調理をする際、流れていく水を意識したことはあるだろうか。実は、トイレや風呂場より、台所から出る食べ残しや飲み残しの排水の方が汚水量としては多いのだという。これらの生活排水は下水道で処理されるが、家庭内排水管や下水管を傷める。
また、汚水が川や海に流れついてしまうと、水質は著しく汚染される。いったん汚染された水質を元に戻すのは容易ではない。例えば、200mlの飲み残しの牛乳を河川に流した場合、魚が棲めるくらいの水質に戻すためには約3トンもの水量(消防車の積載量ほど)が必要となるという。
アクアスフィア・水教育研究所代表で水ジャーナリストの橋本淳司さんが言う。
「自分が使っている水がどこからやってきて、どこへ流れていくかを知ることがとても大切です。どこの山に水源があるのか、使っているのは地下水か河川水か、どのような水道施設を通ってくるのか、豪雨のときはどのように水が流れてくるのか、生活排水はどこで処理されてどの川に入っていくのか──このようなことを知ることが安全な水を使うために大事だと思います」
東京都水道局の「平成27年度 一般家庭水使用目的別実態調査」によると、一般家庭で1日に使われる水の量の使用目的別内訳は、風呂60%、トイレ21%、炊事18%、洗濯15%、洗面・その他6%となっている。
最も水量を使うのが風呂。浴槽に水をためると約200 リットルの水量になる。残り湯は、洗濯や花の水やり、掃除等に再利用したいところ。ちなみに、シャワーを3分間流したままなら、約36リットルの水を使う。無意識に使いすぎることがないよう、こまめに水を止めるようにしたい。
その次に使う水量が多いのがトイレ。トイレを小用後1回流すだけで10リットルの水量になる。最近は少量の水(4.8リットルほど)で洗浄できる節水型の便器も登場している。
食事の用意や後片づけでは約60リットルの水量を使う。食器洗いは事前に汚れを落とすなど、毎日の炊事だけに工夫したい。
洗濯で使う平均水量は、1回あたり約100リットル。縦型とドラム式では、ドラム式の方が比較的少ない水量ですむ。
洗面時に蛇口の水を30秒間出しっぱなしにした場合の水量は約6リットル。歯磨きの際はコップに水を入れて使用すれば、約300mlですむ。
水資源の貴重さを改めて考えたい。
※女性セブン2018年10月11日号