芸能

「リサイクル特番」増加 名番組に頼らざるを得ないTV局の事情

特番として”復活”した『ザ・タイムショック』(公式HPより)

 10月の番組改編に向けて、今の時期、盛んに放送されているのが特別番組だ。テレビ局にとっては長時間に渡って放送することもあり、何としても視聴率を稼ぎたいところ。こうした長時間特番に最近、顕著な傾向が見られるという。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
『V6の愛なんだ2018』(レギュラー時の番組名『学校へ行こう!』、TBS系)、『大改造!!劇的ビフォーアフター』(テレビ朝日系)、『ザ・タイムショック』(テレビ朝日系)、『笑神様は突然に…』(日本テレビ系)、『エンタの神様』(日本テレビ系)、『志村けんのだいじょうぶだぁ』、(フジテレビ系)、『クイズ・ドレミファドン!2018』(フジテレビ系)。

 上記はこの1か月間で放送された長時間特番ですが、番組名を見てピンと来た人もいるでしょう。かつてレギュラー放送されていた人気番組であり、裏を返せば「すでに終了した番組」とも言えます。

「時代が変わった」「飽きられた」「番組としての役目を終えた」などの理由で終了したはずの番組が、なぜ今これほど特番としてリサイクルされているのでしょうか。

◆「ふだんから特番ばかり」の現状にアクセント

 過去のレギュラー番組をリサイクル特番化する理由は、主に以下の3つ。

 1つ目の理由は、特番を取り巻く環境が変わったから。かつて特番は改編期だけの楽しみであり、純然たるオリジナル特番(特番専用)が制作されていました。

 しかし、現在は改編期だけでなく、ふだんから2~4時間の特番だらけで、特別感はありません。これは「本来1時間のレギュラー番組を特番化する」という戦略が民放各局で定着したためですが、だからこそ改編期の特番は「過去の番組をリサイクルすることで差別化したい、アクセントにしたい」という狙いがあるのです。

 現在、最も多い特番は、レギュラー番組の特番化であり、次に多いのはリサイクル特番で、最も少ないのがオリジナル特番。制作費の低い番組ほどレギュラー化も特番化もしやすく、視聴率がふるわなかった際のリスクも小さいので、必然的にこのような割合になるそうです。

 2つ目の理由は、視聴率に直結するターゲット層に合うから。リサイクル特番は、録画やネットではなくリアルタイム視聴する中高年層にとって親しみのある番組であり、一定の視聴率が期待できます。

 たとえば、『クイズ・ドレミファドン!』と聞けば、中高年層の人ほどチャンネルを合わせたくなりますし、実際にイントロクイズの出題も懐かしい曲が多数を占めていました。民放各局ともに、「中高年層向きのリサイクル特番はリスクが小さい。若年層向きのオリジナル特番はリスクが大きすぎる」という認識があるのです。

◆苦しいときほどリサイクルに頼ってしまう

関連キーワード

関連記事

トピックス

逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
マッチングアプリぼったくり。押収されたトランプやメニュー表など。2025年5月15日、東京都渋谷区(時事通信フォト)
《あまりに悪質》障害者向けマッチングアプリを悪用した組織的ぼったくりの手口、女性がターゲットをお店に誘い出し…高齢者を狙い撃ちする風俗業者も
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下の「慰霊の旅」に同行された愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、皇室とご自身の将来との間で板挟み「皇室と距離ができればこうした仕打ちがある」という前例になった眞子さんの結婚 将来の選択肢を“せばめようとする外圧”も 
女性セブン
“じゃないほう”だった男の挑戦はまだまだ続く
「いつか紅白で『白い雲のように』を歌いたい」元猿岩石・森脇和成が語る有吉弘行との「最近の関係性」
NEWSポストセブン
「ピットブル」による咬傷事故が相次いでいる(左・米軍住宅参考画像)
《沖縄で相次ぐピットブル事件》「チェーンを噛みちぎって引きずった痕も…」自治体が狂犬病の予防接種すら把握できない“特殊事情”「米軍関係者の飼い犬だった」 
NEWSポストセブン
白鵬の活動を支えるスポンサー企業は多いと思われたが…
白鵬「世界相撲グランドスラム」構想でトヨタ以外の巨大スポンサー離反の危機か? “白鵬杯”スポンサー筆頭格SANKYOは「会見報道を見て知った。寝耳に水です」
週刊ポスト
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルの飛行機でスヤスヤ》佳子さまの“寝顔動画”が拡散…「エコノミークラス」に乗った切実な事情
NEWSポストセブン
6月13日、航空会社『エア・インディア』の旅客機が墜落し乗客1名を除いた241名が死亡した(時事通信フォト/Xより)
《エア・インディア墜落事故》「ボタンが反応しない」「エアコンが起動しない」…“機内映像”で捉えられていた“異変”【乗客1名除く241名死亡】
NEWSポストセブン
ロスで暴動が広がっている(FreedomNews.TvのYouTubeより)
《大谷翔平の壁画前でデモ隊が暴徒化》 “危険すぎる通院”で危ぶまれる「真美子さんと娘の健康」、父の日を前に夫婦が迎えた「LAでの受難」
NEWSポストセブン
来来亭・浜松幸店の店主が異物混入の詳細を明かした(右は来来亭公式Xより)
《“ウジ虫混入ラーメン”が物議の来来亭》店主が明かした“当日の対応”「店舗内の目視では、虫は確認できなかった」「すぐにラーメンと餃子を作り直して」
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン