春や夏だけでなく、秋でも楽しめる家庭菜園。春や夏に比べると、害虫被害が少ないというメリットはあるが、だからといって可能性がゼロなわけではない。温暖な地域では11月になっても蝶が葉に卵を産み、幼虫が葉を食べてしまう。また、ネキリムシと呼ばれる夜蛾の幼虫や、夏に土中に卵を生んで孵化したコガネムシの幼虫が野菜の根を食い荒らす。さらにアブラムシは真夏と冬以外は生息できるので、秋にも現れる。
「最近はノンケミカルの野菜用殺虫剤もあります。でんぷん由来のものは、虫の脇腹にある気門を被膜で覆って窒息させ、死滅させます。また、春菊などにつきやすいアブラムシは光るものが苦手。地面にアルミホイルを敷くのが効果的。丸めてから広げると乱反射が強くなるのでおすすめです」(園芸研究家・山田幸子さん・以下同)
とはいえ、虫によって対策を変えたり、こまめに虫の嫌いなものをスプレーするのは手間。
「芽が出る前に防虫ネットをかけておくといいでしょう。種をまいてすぐセットすれば、後は安心です」
◆隣の苗同士が切磋琢磨して成長
芽が出てしばらくすると、生育状況にばらつきが出てくる。弱いものは“間引き”で取り除き、強いものを育てる。
「間引きは隣同士の株の葉が触れ合うぐらいになったら始めます。ベビーリーフやほかの葉菜は、間引いたものも食べられ、無駄になりません」
間引くなら、その分、間隔をあけて種をまけばよい気がするが…。
「離れた位置に種をまくと、発芽した苗は風雨を直に受けて弱ります。すぐ近くにも苗があると、支え合って風雨に耐え、互いに太陽を求めて成長しようという競争力も働くようです」
間引く苗は株元をはさみで切ると、残す苗の根を傷めない。残した苗の根元に指で土を寄せておくと、根がしっかり張る。ベビーリーフの間引きは1回のみ。小松菜や春菊など大株に育てたい場合は、成長に応じてさらに1~2回、間引きをする。
間引いてから1週間後に、最初の追肥で化成肥料を用いる。ただし、肥料が多すぎても枯れてしまうので、適量を適期に与えること。
「目安としては2週間に1回、化成肥料10gほどをプランター全体にパラパラとまきます。水不足でもないのに枯れ始めた場合は、肥料が多すぎる可能性が。与えた肥料を取り除き、水をたっぷり与えて成分を洗い流して」
収穫スパンの短いものなら、成長具合もわかりやすい。毎日見て、触れて観察し、実りの秋を迎えて。
※女性セブン2018年10月11日号