「バナナも盗まれたんだ」──。中国上海郊外の村落で、計1万元(約17万円)相当の物品や現金が盗まれる空き巣が発生。捜査に当たった警察は犯人の指紋などの決定的な証拠がなく、「犯人確保は難しい」とあきらめムードが漂っていたが、住民が発した一言が捜査の局面を変えた。
空き巣に入られた住民の1人は何気なく「テーブルに置いてあったバナナがなくなっていた」などと語ったのだ。
この村には監視カメラが少なく、空き巣に入られた家の周辺にも監視カメラがなく、犯人を特定しようと思っても、映像に残っている現場周辺で人々の大半はこの村の住民だった。他にはたまたま村を通り過ぎた人とみられるため、決定的な証拠にならなかった。
警察の捜査担当幹部は「空き巣犯の場合、よほど変わった手口でないと犯人逮捕にはいたらない。今回のケースは、監視カメラの映像も少ないので、帰結は難しいかもしれない」などとため息交じりに愚痴をこぼしていたところ、被害者の1人が「実は奇妙なことに、テーブルに置いてあったバナナが消えていたんだ。バナナも盗まれたんだ」とつぶやくように述べた。
この言葉を聞いた捜査員の1人は「そういえば、監視カメラの映像で、電動自転車に乗っていた男が路上でバナナを食べていたのがあったな」と思い出した。