これは、「貴の乱・最終章」の幕開けなのか──。9月25日に行なわれた貴乃花親方の電撃引退会見で、相撲協会は大混乱に陥っている。会見で「協会と戦うつもりはない」とした、貴乃花親方の言葉を額面通りに受け取る協会関係者はいないが、一方で角界を離れた「花田光司」に共鳴する者が現われるようには思えない。とりわけ協会関係者が不気味がっているのは、貴乃花親方を背後で支えるスポンサーの影が見え隠れすることだという。
「インターネット系の新興企業が支援に回ったという情報がある。何か相撲絡みの別団体を立ち上げるつもりではないのか。さすがに『第2相撲協会』では、伝統ある相撲道を極めるという本人の持論とあまりに違うので、弟子も“シンパ”もついていくとは思えないが、数年前から貴乃花親方が相撲絡みの新ビジネスに興味を持っているという話は聞いたことがある」(協会関係者)
引退会見では「少年たちに相撲を教えて、入門する子を増やしていければと思っている」と口にしていたことから、「立ち上げるのは相撲普及のためのNPO法人ではないか」(担当記者)という情報もある。
協会と決別した上で、新たに相撲絡みのビジネスを立ち上げれば、いずれ協会と一つの“パイ”を食い合うことになる。
「他の格闘技でも、カリスマ的なスターが放逐されて新団体を立ち上げると、ファンは判官贔屓で新しいほうにつく。伝統や国技といった“正統性”が重んじられる大相撲は事情が特殊とはいえ、すでに“反協会”の世論が形成されているのは事実だ。興行のわかる人間と組めば、貴乃花親方の“選択肢”は広がる。何より貴乃花親方は引退直前まで『正しい相撲道を進む』と言い続けてきた。自分の“団体”こそ正統だと考えている」(同前)
貴乃花親方が協会を去って、騒動が沈静化するどころか、むしろ事態はより混沌としている。
※週刊ポスト2018年10月12・19日号