映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、映画でデビューした俳優・篠田三郎が、テレビドラマに出るようになり、ウルトラマンタロウに変身する主人公を演じた思い出について語った言葉をお届けする。
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一九七一年の大映の倒産と前後して、篠田三郎はTBSのテレビドラマに出演するようになる。『シルバー仮面』では主人公チームの一人を演じた。
「青春映画の宣伝で関根恵子さんがテレビに出た時に僕の出演場面が流れて、それを『ウルトラマン』の橋本洋二プロデューサーの奥様が見ていた。その流れで橋本さんに見出されたんだそうです。それで『ガッツジュン』や『熱血猿飛佐助』、『シルバー仮面』に出ました。当時は出られればなんでも嬉しかった。ましてテレビは反響も大きかったですから」
七二年には『シルバー仮面』を撮った実相寺昭雄監督の映画『哥』に出演している。
「自分はあくまで素材であって、実相寺さんが何を考えているのか、深い部分までは理解できませんでした。それでも、運命に従って旧家を守っていくというストイックな役でしたので、監督の指導に応えようと必死でやりました。
岸田森さん、田村亮さん、東野英心さん、内田良平さん、共演者は皆さん楽しんで演じていました。ただ、自分はまだそういう風に映画作りを楽しむ余裕はなかったですね」
七三年には『ウルトラマン』シリーズ第五作『ウルトラマンタロウ』で、タロウに変身する主人公・東光太郎を演じた。