もしも自分の子供が「学校に行きたくない」と言い始めたらどうするだろうか…。誰にでも起こりうることだが、どのようにすればいいのか分からないという人も多いはず。ここでは、イラストレーター・野原広子さんによる、不登校に関する実例を紹介。もしものときの参考にしてほしい。
【プロフィール】
野原広子さん/イラストレーター。主婦目線のイラストやコミックエッセイを多数執筆。主な著書に『娘が学校に行きません』(メディアファクトリー)など。
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「お願い、今日だけ学校を休ませて」
ある朝、小学5年生の娘が泣きながらこう言ったんです。少し前から娘の元気がないことに気づいていた私は、「いいよ」と即答。すると、生意気だった娘の口から、「このお母さんでよかった」という言葉が…。それほど追い詰められていたのかと思いましたが、この時はまだ、「少し休めばまた登校できる」と楽観的でした。ところが、「明日は行く」と言っても、翌朝になると「やっぱりダメ」という問答が1週間以上続き…。
娘が不登校になったまま2学期に突入。堪忍袋の緒が切れた私は、車に娘を押し込み学校へ。すると、保健室の先生が迎えに来て、話しかけてくれたんです。
「たくさん頑張ってエネルギーがなくなったんだよね。まずは楽しいことをして充電しよう」
翌日から娘は、30分~1時間ではありますが、保健室に通うように。保健室にいる間、娘がやっていたのは、ビーズ細工でした。時間を忘れて没頭し、気づけば昼や午後まで保健室にいられるようになりました。そしてビーズ作品が先生の間で評判となり、娘は頼まれて作品を作る喜びを感じるようになったのです。やがて、友達も保健室に集まるようになり、次第に娘の心がほどけていきました。そして3学期、ついに教室に復帰。「学校を休みたい」と言ってから198日目にして不登校が終わりました。
今、大学生になった娘は、当時を振り返り、「あの時は幸せだった。お母さんが一緒にいてくれたから」と…。そういえば、校長先生に「お母さんは、そばで笑って見ていればいいんです」と何度も言われたことを思い出しました。
※女性セブン2018年10月18日号