ライフ

一歩間違えば自殺していた 不登校新聞編集長の体験談

不登校新聞編集長が語る体験談(イラスト/たばやん)

 もしも自分の子供が「学校に行きたくない」と言い始めたらどうするだろうか…。誰にでも起こりうることだが、どのようにすればいいのか分からないという人も多いはず。ここでは、不登校新聞編集長・石井志昂(しこう)さんが自らの体験談を紹介。もしものときの参考にしてほしい。

【プロフィール】
石井志昂さん/NPO法人全国不登校新聞社の『不登校新聞』編集長。不登校の子供や若者をはじめ、識者など400人以上に取材してきた。

 * * *
 中学受験に失敗し、忸怩たる思いで公立中学に進んだぼくは、いじめや教師の理不尽さに直面。情緒が不安定になり、万引を繰り返すように…。それでもがまんして学校に通い続けました。「学校を休む」という発想がなかったんです。

 しかし、中学2年生の冬、踏切の音がすると、呼ばれているような気になったんです。はねられたら楽になる──と…。

 あの当時は、毎日視界がグラグラし、大地が揺れている状態でした。

 初めて学校を休んだのは、中学2年生の12月。学校が嫌で、授業をボイコットした夜、母に「明日どうする?」と聞かれ、思わず「行きたくない」と言ったんです。その瞬間、初めて自分の本心に気がつきました。母は、「わかった」とだけ言い、学校に「明日から2週間休みます」と連絡。冬休みと合わせて1か月は休めると思った瞬間、ほっとしたのを覚えています。

 その間、学校から連絡はあったようですが、母はぼくにその事実を一切伝えませんでした。勉強は通信教材でやることにしたものの、できる状態ではなく、気持ちだけ焦る…。そんなある日、教材が消えていました。母が捨てたんです。以来、学校のことも忘れられ、勉強のプレッシャーもなくなりました。

 結局ぼくは学校には戻らず、不登校になって2か月目に、フリースクールに入会。ここでは自分の意思で動け、自分らしく生きられたのがよかったですね。学校では、理不尽な教師の言いなりになるのがつらかったので。今は、不登校新聞の編集長になり、自分の体験を生かして、不登校に苦しむ親子に情報発信をしています。

※女性セブン2018年10月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
入場するとすぐに大屋根リングが(時事通信フォト)
興味がない自分が「万博に行ってきた!」という話にどう反応するか
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン