もしも自分の子供が「学校に行きたくない」と言い始めたらどうするだろうか…。誰にでも起こりうることだが、どのようにすればいいのか分からないという人も多いはず。ここでは、不登校新聞編集長・石井志昂(しこう)さんが自らの体験談を紹介。もしものときの参考にしてほしい。
【プロフィール】
石井志昂さん/NPO法人全国不登校新聞社の『不登校新聞』編集長。不登校の子供や若者をはじめ、識者など400人以上に取材してきた。
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中学受験に失敗し、忸怩たる思いで公立中学に進んだぼくは、いじめや教師の理不尽さに直面。情緒が不安定になり、万引を繰り返すように…。それでもがまんして学校に通い続けました。「学校を休む」という発想がなかったんです。
しかし、中学2年生の冬、踏切の音がすると、呼ばれているような気になったんです。はねられたら楽になる──と…。
あの当時は、毎日視界がグラグラし、大地が揺れている状態でした。
初めて学校を休んだのは、中学2年生の12月。学校が嫌で、授業をボイコットした夜、母に「明日どうする?」と聞かれ、思わず「行きたくない」と言ったんです。その瞬間、初めて自分の本心に気がつきました。母は、「わかった」とだけ言い、学校に「明日から2週間休みます」と連絡。冬休みと合わせて1か月は休めると思った瞬間、ほっとしたのを覚えています。
その間、学校から連絡はあったようですが、母はぼくにその事実を一切伝えませんでした。勉強は通信教材でやることにしたものの、できる状態ではなく、気持ちだけ焦る…。そんなある日、教材が消えていました。母が捨てたんです。以来、学校のことも忘れられ、勉強のプレッシャーもなくなりました。
結局ぼくは学校には戻らず、不登校になって2か月目に、フリースクールに入会。ここでは自分の意思で動け、自分らしく生きられたのがよかったですね。学校では、理不尽な教師の言いなりになるのがつらかったので。今は、不登校新聞の編集長になり、自分の体験を生かして、不登校に苦しむ親子に情報発信をしています。
※女性セブン2018年10月18日号