残りわずかとなった「平成」の時代には何があったのか。今回は平成八年に起きた出来事を振り返る。
「1983年当時、厚生省内に非加熱の血液製剤が危険だったという認識があった」(菅直人厚相)。2月、長きにわたり存在しないとされてきた資料の発見を機に、大きく転換した薬害エイズ事件。菅厚相は非加熱製剤によってエイズウイルス(HIV)に感染した血友病患者や遺族に謝罪。訴訟の和解も成立し、かつての行政責任者や製薬会社『ミドリ十字』の歴代3社長らが業務上過失致死容疑で逮捕された。
厚生省への不信感は病原性大腸菌(O157)の集団食中毒感染の拡大時にも高まった。岡山や大阪などの学校給食でO157による食中毒が発生し、女児らが死亡。その後も各地で大量感染による被害が相次ぎ、行政はカイワレ大根が感染源の可能性ありと発表。だが、最終的には感染源を特定できず、風評被害となった。
7月19日、アトランタ五輪が開幕。カール・ルイスが走り幅跳びで4連覇達成。金メダルが確実視されていた柔道女子48kg級の田村亮子は、北朝鮮の選手に決勝で敗れた。
芸能界では国民的人気映画『男はつらいよ』シリーズの主役“フーテンの寅”こと車寅次郎を演じた渥美清が死去。『男はつらいよ』第1作公開から50年目となる2019年、新作が公開予定。
若者たちの間では安室奈美恵が大人気。彼女を真似た茶髪にミニスカ、厚底ブーツの「アムラー」女子が急増した。ドラマでは木村拓哉と山口智子主演、月9枠で放送された『ロングバケーション』(通称・ロンバケ)が高視聴率。
秋、今では珍しくない育成ゲームの先駆け的商品『たまごっち』が大ブーム。全国的に品薄状態が続き、販売店に徹夜の行列ができるほどの社会現象を巻き起こした。この年の流行語は「自分で自分をほめたい」「チョベリバ・チョベリグ」など。
【平成八年の主な出来事】
2月9日 菅直人厚相が薬害エイズ事件で国の責任を認める。後日、謝罪
2月14日 棋士・羽生善治九段が王将位獲得で史上初の七冠達成
4月15日 ドラマ『ロングバケーション』(フジテレビ系)スタート
7月19日 第26回アトランタ五輪開幕。日本は14個のメダル獲得。柔道・田村亮子は惜しくも銀
8月4日 俳優・渥美清が死去(享年68)
8月28日 英・チャールズ皇太子とダイアナ妃が離婚
11月23日 バンダイが 『たまごっち』発売
12月17日 ペルーで日本大使公邸人質事件発生。127日後に人質解放
※女性セブン2018年10月18日号