ひと昔前に比べれば、ダンスは完全に市民権を得たといっていい。だが、わきまえるべきTPOはやはりある。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。
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不届き者の仕業なのか。9月3日付『澎湃新聞』によれば、深圳市のある幼稚園の開園式でその事件は起きたという。北京のメディア関係者が語る。
「実は、その式の中で国旗を掲揚するためのポールを使い、ポールダンスが披露されたのです。舞ったのは外から招いたプロで、黒い衣装で短パンというスタイル。太もも露わだったということで、それを見た保護者は驚いたそうです」
当日の現場には3歳から6歳までの子供約500人と約100名の保護者がいたというが、保護者の中には、「もうこんな園には子供を入れたくない」と憤り、「ただちに退園する」と園長に激しく詰め寄る父兄もいたという。大荒れの入園式となったようだ。
そして、この日の動画がネットに流れると、これまたネチズンが大騒ぎするという騒動となった。
「園のほうでは園長が『子供たちにいろいろなダンスを見せたかった』と説明しましたが、それで納得するわけはないですよ」
と前出のメディア関係者が語る。
実際、園では中国の伝統的な舞踊からさまざまなプロを招いていたというが、父兄たちの間では、なぜ唐突にダンスばかりを見せられるのか、という疑問が拭えなかったようなのだ。