誤解を恐れずに言えば、病気を見抜くための「検診」だって、病院や医師にとってはビジネスとしての側面もある。その検査が有効であってもなくても、たくさんの人が受ければ、それだけ儲かるわけであり、その儲けを追求する病院は、本当のことを教えてくれないかもしれない…。
そこで数ある検診の中で、実は「必要ない」とされる検診を専門家に教えてもらった。専門家たちが異口同音に「要らない」と答えたのが「PET検診」だった。
国立がん研究センター検診研究部の中山富雄先生が解説する。
「全身のがんがいっぺんに見つけられる画期的な検診としてもてはやされたPET検診ですが、実際には胃がんや膀胱がんなどの重要ながんが見つかりづらいばかりか、治療の必要がない小さな腫瘍を感知してしまう。不安を煽ったうえ、見落としも多いため受ける意味はない」
体への負担も大きいと指摘するのは、おおたけ消化器内科クリニック院長の大竹真一郎先生だ。
「受診時に痛みや苦しさはないものの、放射線被ばくは避けられない。画像診断を詳細にするためにCTスキャンを併用すると、被ばく量はさらに上がります」
採血と検尿だけでできるがんの検診とあって、人間ドックのメニューに取り入れられることも多い「腫瘍マーカー」も、中山先生は「罪作りな検診」と一刀両断。
「これも全然あてになりません。精度があまりにも悪い。がんでなくても反応してしまうことがあるのに、がんには反応しない場合がかなり多い。しかも、風邪をひいた程度でも上がる。実際はがんではないのに『人間ドックで受けた腫瘍マーカー検査が陽性で…』と悩む人が、毎日1人は外来診察に来ていました」
一時期は胃がん検診の王道だったバリウムを使ったX線検査も、今や時代遅れになっている。
「もはやバリウム検査は大学病院など大きな病院では実施されていません。レントゲンで胃の画像を撮り、その画像を見てがんの有無を診断するわけですが、撮影の腕に左右される部分が大きい。実は、ピンボケの写真を撮る医師や技師もたくさんいる。その点は、胃カメラも同様の部分があるのは確かですが、今後は切り替わっていくと考えられます」(中山先生)
※女性セブン2018年10月18日号