「人生100歳時代」「生涯現役」と、長生きを肯定的にとらえるフレーズが市民権を得るようになってきたが、世のジジイたちは、心の中では怒っている。サッカー解説者・釜本邦茂氏(74)もその一人だ。
近頃、高齢ドライバーに対する風当たりは強くなるばかりだが、釜本氏はそんな風潮に憤っているという。
「たしかに高速道路の逆走やブレーキとアクセルの踏み間違えなど、高齢者による事故があるのは事実だし、認知症の人が運転してはいけないというのは当然です。でも、すべての人を年齢で区切って、一律に“年寄りは運転するな”というのはどうかと思う。
私も前回、運転免許を更新した時には70歳を超えていたので、教習所で高齢者講習を受講しました。検査器による運転適性検査を受け、教習所のコース内を運転しましたけど、満点で合格しましたよ。それなのに年齢だけを理由に周囲から“あまり運転するな”と白い目で見られるのは、納得がいかない」
毎日、自宅から事務所まで車を運転し、サッカー教室にも車で出かけているという釜本氏。運転には慎重を期しているそうだ。
「天気が悪いなど、視界の問題があるときには運転を自粛したり、広い道をゆっくり帰ってきたり、安全運転を心がけています。もし制限速度で走っていて後続車に煽られるのが不安なら、70歳でも75歳以上の運転者がつける高齢者運転標識をつければいい。安全運転をアシストしてくれる車に乗るのもいい。高齢者だっていろいろ考えているんだから、“年寄りは運転するな”と切り捨てないでほしいですよ」
※週刊ポスト2018年10月12・19日号