大手自動車メーカーによる排ガス不正や、世界的な環境規制強化の影響を受け、縮小・撤退傾向の続くディーゼル車。だが、日本で「ディーゼルエンジン開発のさらなる進化を目指す」と唯一気を吐いているのがマツダだ。同社はなぜそこまでディーゼルにこだわるのか。ジャーナリストの河野圭祐氏がレポートする。
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マツダが10月2日に開催した「技術説明会2018」──。今回、同社側からディーゼルエンジンについての踏み込んだ発表はなかったが、今後のディーゼルの展望について質問が飛ぶと、藤原清志副社長(研究開発部門も統括)はこう述べた。
「ディーゼルは今後も諦めずに開発していくつもりで、まだまだ将来的に可能性があると思っています。
その理由は2つあって、1つは燃料が低価格の軽油であること。もう1つはトルクが大きいので、(世界的に売れ筋の潮流になっていて車重のかさむ)SUVのクルマなどに適しているからです。NOx(窒素酸化物)をさらに減らしていくという課題はありますが、ハイブリッドの電動化をプラスすることで、さらにディーゼルの良さを追求できると考えます」
そもそもディーゼルエンジンのメリットとデメリットは何か。ポジティブなほうは、低価格の軽油で済みつつ、低回転域で大きなトルクを発生するため、登坂路でもグイグイとクルマを引っ張ってくれることだ。それでいてアクセルをそれほど踏まなくて済むので燃費向上にも寄与する。CO2(二酸化炭素)排出量もガソリン車より少ない。
一方ネガティブなほうは、ガソリンエンジン車よりもコスト高なため車両価格も相対的に高めになること。また、昔ほどではないものの振動音があり、藤原氏が指摘するようにNOxもさらに減らしていく必要がある。エンジンを高回転域まで回して楽しむような人には向かない、といったところだ。