妻に車イスを押してもらいながら、1歩ずつペダルを踏みしめる。時折、言葉を交わし、再び前進──その姿は数年前には想像もできなかったほど力強く、表情にも明るい笑顔があふれていた。
「以前は車イスの上でグッタリしたまま。会話はおろか、表情もほとんどなく、コミュニケーションすらとれなかった。それが…奇跡ってあるんだって、涙が出そうになります」(近隣住民)
TOKIO・国分太一(44才)と共演した料理番組『男子ごはん』(テレビ東京系)で人気を博したケンタロウ(46才)。バイク事故によって彼が表舞台から姿を消したのは2012年2月のことだった。首都高のカーブを曲がり切れず、高架から6m下の道路に転落。高次脳機能障害が残り、言葉も出ない状態だった彼が今、奇跡とも呼べる回復を見せている。
その回復には3つの理由があった。1つは、常人には真似できないような懸命なリハビリだ。冒頭のように自宅の近所を車イスで回る以外にも、“特別なリハビリ”に励んでいる。
「茨城県内にあるリハビリ施設に遠征することもあるそうです。そこでは1日8時間ものトレーニングをこなしているようです」(ケンタロウの知人)
2つ目はケンタロウの乗る車イスにある。
「『コギー』と呼ばれる、足元にペダルのついた車イスです。わずかな力でペダルが回転する仕組みで、“自分の力で移動できる”喜びが自信につながっています」(介護関係者)
このコギーの製造販売会社によれば、キャッチコピーは“あきらめない人の車いす“だという。そして最も大きいのが、フードスタイリストの妻・大谷マキさん(43才)の献身だ。
「2010年に結婚してわずか2年後、事故が起きてしまいました。その後、葉山の一戸建てから病院の近くに引っ越し、2013年6月に退院してからは、マキさんが自宅でリハビリを支え続けてきたそうです」(前出・知人)
コギーに乗っての散歩も夫婦の日課だ。
「奥さんは車イスを押しながら、顔がちゃんと見えるようにケンタロウさんの横に顔を出して話しています。夏場はケンタロウさんの汗をこまめにタオルで拭いてあげて…本当にいい奥さんです」(別の近隣住民)
ケンタロウが出演していた『男子ごはん』は、料理研究家の栗原心平(39才)を“代役”にして続けられ、今年4月に10周年を迎えた。そのスペシャル番組では、ケンタロウからの直筆の手紙が紹介された。
「番組スタッフも国分さんも栗原さんも、本気でケンタロウさんの復帰を待っています。これもまたリハビリのモチベーションになっているのではないでしょうか」(テレビ東京関係者)
ケンタロウの前向きな姿勢と周囲の支えが、さらなる奇跡を起こすかもしれない。
※女性セブン2018年10月25日号