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前立腺がん患者「早くにPSA検査を受けていれば…一生の不覚」

解説する赤倉医師

 3年生存率=99%の前立腺がん。全国8割の自治体は、前立腺がん検診であるPSA検査を導入しているが、国は推奨していない。だからといって、前立腺がんに対して油断するのは禁物だ。

 前立腺は、膀胱の下にあり、尿道のまわりを取り囲む男性特有の臓器である。前立腺がんは高齢者に多く、進行が極めてゆっくりだ。ただし、骨に転移しやすく、そうなると激しい痛みが伴う。

 早期発見には、PSAというタンパク質を検査する。4.0ng/ml以上が精密検査の対象だ。前立腺がんの専門家である、東京新宿メディカルセンター副院長・赤倉功一郎医師はこう危惧する。

「一度もPSA検査を受けていない高齢者が腰痛で整形外科に行ったら、前立腺がんが全身に骨転移していたケースや、脊椎への転移で下肢麻痺となり、足が動かなくなった人もいます。前立腺がんがあっても、寿命に影響がない人もいますが、一方でお気の毒な状況になる人もいるのです」

 都内在住の70代男性は、人間ドックで初めてPSA検査を受けたところ、基準値を大きく超える値が出た。

 摘出手術を受けた後に、がんの取り残しが判明し、今度は9週間にわたる放射線治療を受けた。同時に、手術の後遺症で、尿漏れが止まらなくなった。パッドを一日5回も変える生活は、想像以上に不便だった。

 そこで、この男性は体内に排尿をコントロールする人工装置を埋め込み、ようやく仕事にも復帰できた。

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