ライフ

今年豊漁の秋刀魚 ほんの一手間でおもてなしの一品に

ばぁばの「秋刀魚の両妻折り焼き」(撮影/近藤篤)

 ばあばこと、鈴木登紀子さん。『きょうの料理』(NHK Eテレ)に出演し続ける現役最高齢93才の日本料理研究家に、秋が旬のさんま料理について聞いた──。

 研ぎ澄ました刃のような秋刀魚が、今年も秋を連れてきました。しかも今年は豊漁とか。秋刀魚をいただかないと、秋を迎えた気がしないばぁばには嬉しい限りです。秋刀魚は何といっても塩焼きでいただくのが王道ですが、生秋刀魚をご飯に混ぜるだけでもおいしいの。

 秋刀魚を三枚におろしてそぎ切りにし、酒、しょうゆ、塩を混ぜたつけ汁に浸し、しょうがのみじん切りと炊きたてのご飯に混ぜるだけ。ご飯の熱が秋刀魚を蒸らしてなんとも美味。もみのり、炒りごま、細ねぎをあしらっていただきます。

「三枚におろすのは苦手」ならば、スーパーの鮮魚コーナーでお願いすればよいですよ。お料理の効率を上げておいしくいただく知恵は、手抜きではありませんからね。生きのよい脂ののった秋刀魚が手に入りましたら、ぜひお試しください。

 さて、今回のお題は「秋刀魚の両妻折り焼き」です。三枚におろした秋刀魚をつけ汁に浸し、両端からクルッと丸めて双眼鏡のような形にして焼くというもの。

 両端を丸めて楊枝で留めるから“両妻折り”です。片端だけ丸めると“片妻折り”となります。これをこんがりと焼くのですが、ばぁばはオーブンを使います。その方がふっくらと焼けますし、焦げにくいと思います。魚焼きグリルをお使いになる場合は、焦がさないよう、くれぐれも火加減に気をつけてくださいね。

 骨を外したり、身が散乱する一尾の焼き魚は、家庭の食卓にこそふさわしいものであって、おもてなしとしてはちょっと不向きですが、この「秋刀魚の両妻折り焼き」ならきれいに口に運べますから、お客様の御膳でも喜ばれます。

 お箸やお口を汚さないということ、食べやすいということも、日本料理の大切な要素です。そのためのひと手間が、食べる人へ“真心”を伝えるということを覚えておいてくださいね。

【本日のメニュー】
秋刀魚の両妻折り焼き

作り方(4人分)
【1】秋刀魚4尾はそれぞれ三枚におろし、腹身の小骨を丁寧にすき取る。
【2】バットに酒・しょうゆ各大さじ3、みりん大さじ2を合わせ、【1】の皮目を下にして並べる。途中で返しながら約5分漬けて味をなじませる。
【3】まな板に秋刀魚の皮目を下に、頭の方を右にして置く。頭の方から半身分クルリと巻き、爪楊枝か竹串を左向きに刺して留める。尾先も同様に巻いて、右向きに串を刺す。
【4】皮目に斜めにひと筋包丁を入れて、250℃に予熱したオーブンで5分ほど焼く。あるいは魚焼きグリルで香ばしい焼き目がつくまで焼く。
【5】焼き上がったら串を回しながら抜いて皿に盛る。大根おろし、かぼすなどを添える。

※女性セブン2018年10月25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

打撃が絶好調すぎる大谷翔平(時事通信フォト)
大谷翔平“打撃が絶好調すぎ”で浮上する「二刀流どうするか問題」 投手復活による打撃への影響に懸念“二刀流&ホームラン王”達成には7月半ばまでの活躍が重要
週刊ポスト
懸命のリハビリを続けていた長嶋茂雄さん(撮影/太田真三)
長嶋茂雄さんが病に倒れるたびに関係が変わった「長嶋家」の長き闘い 喪主を務めた次女・三奈さんは献身的な看護を続けてきた
週刊ポスト
6月9日、ご成婚記念日を迎えた天皇陛下と雅子さま(JMPA)
【6月9日はご成婚記念日】天皇陛下と雅子さま「32年の変わらぬ愛」公務でもプライベートでも“隣同士”、おふたりの軌跡を振り返る
女性セブン
(インスタグラムより)
「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画…直後に入院した海外の20代女性インフルエンサー、莫大な収入と引き換えに不調を抱えながらも新たなチャレンジに意欲
NEWSポストセブン
中国・エリート医師の乱倫行為は世界中のメディアが驚愕した(HPより、右の写真は現在削除済み)
《“度を超えた不倫”で中国共産党除名》同棲、妊娠、中絶…超エリート医師の妻が暴露した乱倫行為「感情がコントロールできず、麻酔をかけた患者を40分放置」
NEWSポストセブン
第75代横綱・大の里(写真/共同通信社)
大の里の強さをレジェンド名横綱たちと比較 恵まれた体格に加えて「北の湖の前進力+貴乃花の下半身」…前例にない“最強横綱”への道
週刊ポスト
地上波ドラマに本格復帰する女優・のん(時事通信フォト)
《『あまちゃん』から12年》TBS、NHK連続出演で“女優・のん”がついに地上波ドラマ本格復帰へ さらに高まる待望論と唯一の懸念 
NEWSポストセブン
『マモ』の愛称で知られる声優・宮野真守。「劇団ひまわり」が6月8日、退団を伝えた(本人SNSより)
《誕生日に発表》俳優・宮野真守が30年以上在籍の「劇団ひまわり」を退団、運営が契約満了伝える
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン