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ベトナム初の自動車会社の新モデル 日本車と遜色ない出来か

パリモーターショーで初披露された「LUX A2.0」

 日本時間の10月15日に閉幕したパリモーターショー。世界の主要メーカーが次々と不参加を表明するなど盛り上がりに欠けたとの酷評が多い中、ひと際注目を集めたブースがある。ベトナム初の自動車メーカーがコンセプトカーを華々しく披露したのだ。一体どんな企業なのか。現地で取材したモータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏がレポートする。

 * * *
 パリのモーターショーで、取材していた記者の間で話題となったのが「ビンファースト(VINFAST)」でした。日本からパリに赴いた自動車関連記者も、その多くが初耳だったようで、「何者か?」となったわけです。

 その正体はベトナム初の国産自動車メーカーでした。プレスカンファレンスでは2台の新型車だけでなく、サッカー界のスターであるデビッド・ベッカム氏までがミス・ベトナムの美女とともに登場し、世界中から集まった記者たちを驚かせました。

 そこで、ここではもう少し詳しくビンファーストを紹介したいと思います。

 ビンファーストには母体がありました。それがベトナムの大手不動産企業である「ビングループ」です。近年ではリゾート施設やショッピングモール、病院や学校経営まで行うなど、事業の多角化を図っています。そして、今度は自動車です。

 しかし、彼らの進める自動車ビジネスは本気も本気。「プロトタイプを出品して、様子を見る」とか「話題となって、何か続きができるといいな」とか、そういうレベルではありません。

 すでに2017年からハノイ郊外のハイフォン経済特区に15億ドルの費用をかけて335ヘクタールの工場を建設しているというのです。起工式には、ベトナムの首相も参加。相当に期待されているようです。

 とはいえ、自動車ビジネスには高度な技術とノウハウが必要です。その問題に対してビンファーストは欧米の力を借りました。CEOに元GMのジェームス・デルーカ氏を起用。プラットフォームとエンジンは、古いBMWのものを使います。BMWだけでなく、マグナ社、ボッシュ社、シーメンス社など欧州の有力企業の協力も得ることに成功しました。

 また、新しいクルマのデザインは、イタリアのデザインハウス「ピニンファリーナ社(Pininfarina)」と共同で設計しました。

 両社は2017年8月にモデルスケッチを始め、なんと10月には新モデルのコンセプト・アイデアを約20件も提出したといいます。そして、最初のスケッチから最終的な表面の開発までの時間を11か月未満に短縮したそうです。

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