A4判1枚の用紙には〈移籍報告書〉と表題がつけられている。5人の暴力団幹部の名前と年齢、所在地が記されていて、彼らが六代目山口組傘下の団体に〈移籍〉したことを示す文書だ。〈平成30年10月3日〉とあり、本誌・週刊ポストが六代目山口組関係者から文書を写した画像を入手したのはその数日後のことだ。
名前が記された幹部たちのもともとの所属先は、2015年8月に六代目山口組から分裂した神戸山口組系の組織の幹部が1人、その神戸山口組から昨年4月に分裂した任侠山口組系の幹部が4人となっている。山口組問題に詳しいフリーライターの鈴木智彦氏は「この名簿のインパクトは大きい」と話す。
「とくに注目すべきは、5人のなかに、任侠山口組の相談役を務め、有力二次団体の総裁でもあるB氏の名前があることでしょう。“昔気質で真っ当なヤクザ”と評判の人望厚いB氏がいたからこそ、織田(絆誠)代表率いる任侠は組織として1つにまとまったといわれてきた。そのB氏が六代目側に移籍したとする名簿の衝撃は大きい」
注目すべきは、このタイミングでそうした大物幹部の移籍情報を記した名簿が出回った事実だ。暴力団事情に詳しいジャーナリストの伊藤博敏氏はこういう。