〈増税分は店が負担します〉──来年10月、スーパーや量販店などの店頭やチラシにそんな宣伝文句が躍ることになりそうだ。
政府は前回の増税時に「価格転嫁を促すため」という理由で消費税還元セール(の広告)を罰則付きで全面禁止したが、今回は一転して「増税後の消費の急激な冷え込みを防ぐ」という理由で解禁する方針だ。
しかし、それを鵜呑みにするわけにはいかない。
政府の関係省庁会議では、2019年10月1日に小売店が商品価格を一斉に2%値上げ(増税分の価格転嫁)すれば消費の冷え込みを招くため、「小売店に増税前の安売りセールの自粛を促し、増税前から商品価格を少しずつ値上げして早めに価格転嫁しておくように指導する方針になる」(中小企業庁関係者)とみられている。
増税前に“フライング値上げ”するように指導し、増税後は大々的に「2%還元セール」を宣伝させる作戦だ。このカラクリを知らずに「駆け込み需要」に走れば、大損してしまう。「消費税還元セール」が始まっても2%引きではまだ我慢し、さらなる値下げがあって初めて“買い”なのだ。
※週刊ポスト2018年11月2日号