この時期、年末商戦に向けて家電メーカーがさまざまな新製品を発売する。同時に、これまでの製品は“型落ち品”となって値段が下がるため、薄型テレビやドラム式洗濯機など、高額な家電製品がお得に買えるケースは多い。その際、よく選択を迫られるのが、保証期間の延長をするかどうかだ。いったい、どう判断すべきなのか。『できる人は統計思考で判断する』(三笠書房)著者でニッセイ基礎研究所上席研究員の篠原拓也氏が、「行動経済学」をもとにアドバイスする。
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私たちは、日常生活をしていく上で、さまざまな場面で決断を迫られる。決断をしなければならないことが、「重大なこと」や「未経験なこと」だった場合、簡単に決断できるものではない。
たとえば、皆さんは家電量販店の店員さんから、こんなことを聞かれた経験がないだろうか。
「この製品には、メーカーの1年保証がついています。当店では、この保証期間を5年に延長するサービスを取り扱っています。500円の延長保証料をお支払いいただければ、保証期間の延長ができますが、いかがいたしましょうか?」
これから製品を買って使おう、というときの話である。突然、保証期間の延長について聞かれて、しかもすぐに判断が求められる。しかしながら、
・まだ使ってもいない製品でどれぐらい故障しやすいものなのか。
・その製品が故障するとどれぐらい困ることになるのか。
・故障時に修理に出した場合、どのくらいの修理費用がかかるものなのか。
・製品のサイクルが短い場合、故障時に修理に出すべきなのか、それともいっそのこと、新品に買い換えてしまうべきなのか。
こうした疑問は到底分からないし、購入時点では解決できない。このような状況で、延長保証料を支払って保証期間の延長をすべきかどうか、瞬時に判断することはかなり難しいだろう。
こんなとき、どうすれば納得のいく判断がくだせるだろうか。