国内

レーシック手術や帝王切開に潜むリスクを医師が解説

レーシックや緑内障手術など「受けない方がいい手術」(写真/アフロ)

 厚生労働省の調査によれば、2004年を境に、日本における年間手術数は激減している。背景には日進月歩で開発が進む新薬や最新治療などがある。それでもなお「切りたがる」医師たちに「NO」を言うためにも、どの手術にどんなリスクがあるのか、また受けても意味のない手術はあるのか、今こそ知る必要がある。

◆メニエール手術

 めまいが突発的に起こり、グルグルと回るような不快な症状に悩まされるメニエール病。内耳にあるリンパの浮腫によって起こるとされ、耳鳴りや難聴など耳の症状を伴うこともある。

 この病気の治療法としては、以前から耳の奥の「前庭神経」の切断手術が知られている。JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長の石井正則先生が指摘する。

「前庭神経というのはバランスを司る神経で、切ってしまうとバランス機能の障害を招きかねない。この手術は、薬物治療をほどこしても治らない場合の、いわば『最終手段』です。治療の最初からこの手術を勧める医師には注意が必要です」

◆脊椎の手術

 長時間パソコンに向かうなど、悪い姿勢を続けることで首が前方に突き出る「ストレートネック」は女性に多い症状だ。首の骨の自然なカーブが失われ、重い頭を支えるのがつらくなって肩こりはもちろん、手足のしびれなど、さまざまな障害を引き起こす。

 手のしびれで悩む埼玉県に住む木村恵子さん(52才・仮名)も、この病気と診断された。 ほかに頸椎椎間板ヘルニアなど、重度になると頸椎の手術を勧められる病気はほかにもあるが、秋津先生は「手が動かないなど、よっぽど生活に支障がある状態でなければやらない方がよい」とばっさり。

 秋津医院院長の秋津壽男先生はこう語る。

「腰などと違って首は細いうえ、神経や血管が密に通っているデリケートな部位。手術の難易度は段違いに高くなります。完全に治療することも困難で、手術後に軽いしびれや痛みが残っても『想定内』とされてしまう」

◆レーシック手術

 メガネやコンタクトレンズから解放される手術として知られるレーシック。多くの芸能人やスポーツ選手なども受けたことを告白しているこの手術は、レーザー光線で角膜の中央部分を削り、角膜のカーブを変えることで近視などを矯正し視力を上げるというもの。だが、そこには複数のリスクがある。

 二本松眼科病院の平松類先生が話す。

「この手術を安易に受けてしまう人が多いことは大きな問題だと思っています。手術の際の感染症のリスクだけでなく、手術後も長期的なリスクを抱えることになります」

 そのうちの1つは、緑内障の治療が難しくなることだ。

「緑内障の治療内容は眼圧を下げるというもの。しかし、レーシックを受けると角膜が削られてしまうので、正確な眼圧の測定ができなくなり、緑内障の治療が遅れてしまいます」(平松先生)

 さらに、レーシックを受けた人に老眼が加わると、手元を見るのが困難になったり、もともとドライアイの人は症状がひどくなったりすることもあるという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《追突事故から4ヶ月》広末涼子(45)撮影中だった「復帰主演映画」の共演者が困惑「降板か代役か、今も結論が出ていない…」
NEWSポストセブン
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン
佳子さまも被害にあった「ディープフェイク」問題(時事通信フォト)
《佳子さまも標的にされる“ディープフェイク動画”》各国では対策が強化されるなか、日本国内では直接取り締まる法律がない現状 宮内庁に問う「どう対応するのか」
週刊ポスト
『あんぱん』の「朝田三姉妹」を起用するCMが激増
今田美桜、河合優実、原菜乃華『あんぱん』朝田三姉妹が席巻中 CM界の優等生として活躍する朝ドラヒロインたち
女性セブン
東日本大震災発生時、ブルーインパルスは松島基地を離れていた(時事通信フォト)
《津波警報で避難は?》3.11で難を逃れた「ブルーインパルス」現在の居場所は…本日の飛行訓練はキャンセル
NEWSポストセブン
別府港が津波に見舞われる中、尾畠さんは待機中だ
「要請あれば、すぐ行く」別府湾で清掃活動を続ける“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(85)に直撃 《日本列島に津波警報が発令》
NEWSポストセブン
宮城県気仙沼市では注意報が警報に変わり、津波予想も1メートルから3メートルに
「街中にサイレンが鳴り響き…」宮城・気仙沼市に旅行中の男性が語る“緊迫の朝” 「一時はネットもつながらず焦った」《日本全国で津波警報》
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月16日、撮影/横田紋子)
《モンゴルご訪問で魅了》皇后雅子さま、「民族衣装風のジャケット」や「”桜色”のセットアップ」など装いに見る“細やかなお気遣い”
夜の街での男女トラブルは社会問題でもある(写真はイメージ/Getty)
「整形費用返済のために…」現役アイドルがメンズエステ店で働くことになったきっかけ、“ストーカー化した”客から逃れるために契約した「格安スマホ」
NEWSポストセブン
大谷家の別荘が問題に直面している(写真/AFLO)
大谷翔平も購入したハワイ豪華リゾートビジネスが問題に直面 14区画中8区画が売れ残り、建設予定地はまるで荒野のような状態 トランプ大統領の影響も
女性セブン
休場が続く横綱・豊昇龍
「3場所で金星8個配給…」それでも横綱・豊昇龍に相撲協会が引退勧告できない複雑な事情 やくみつる氏は「“大豊時代”は、ちょっとイメージしづらい」
週刊ポスト