地震や豪雨が相次ぐ今、次に被災地となるのは“わが町”かもしれない。しかし、いざ防災対策をするにしても、ペットがいる家庭では、避難所での生活や備えが一般家庭のそれとは違うため、迷うことも多いだろう。愛するペットと共に生き残るため、飼い主はどう備え、行動すべきか。
◆まずは自分の命を優先 その後ペットの保護を
被災時はまず、自分と家族の身を守り、安全確保ができた後にペットを保護するのが鉄則だ。自宅で被災した場合、出口を確保するためにまずドアを開ける。そして、ペットがそばにいればすぐ、キャリーバッグやケージに入れると逃亡を防げ、ペットの安全も確保できる。
その後は、一戸建ての場合、倒壊の恐れのある1階より2階に移動して様子を見ながら避難準備をし、安全を確認してから、ペットと共に避難場所へ向かう。
「移動時は猫をキャリーバッグに、犬は歩かせるのが基本。しかし実際は、犬も瓦礫を怖がって歩きたがらない。日頃から舗装道路だけを歩かせるのではなく、砂利や木の枝だらけの道を散歩させたり、潰したペットボトルを重ねた足場の悪い場所を歩かせるなどして、練習しておくとよいでしょう」(NPO法人SORAアニマルシェルター代表・二階堂利枝さん)
近くにペットとの同行避難が可能な避難所があるかはあらかじめ調べておき、なるべく両手を空けた状態で避難を開始して。
◆トラブルを防ぐための機転が必要になる
同行避難ができたといっても、避難所内では、人が建物の中、ペットは建物の外に置かれるのが一般的だ。NPO法人アナイス代表・平井潤子さんは言う。
「最近では、建物内でいっしょにいられる同居型の“同伴避難”ができる避難所もありますが、これは圧倒的に少ないのが実情です」
一方、周りにペットの受け入れをしていない避難所しかない場合は、人だけ避難所に行き、ペットは一時預り支援などに預けることになる。いっしょにいたい場合は、テントや車中泊をする手もある。
「大切なのは、動物が好きな人ばかりじゃない避難所での共同生活で、飼い主が周囲に配慮しつつ、いかに落ち着いてペットに接するかという点。東日本大震災の避難所では、“かみつくのでさわらないで”と書いてケージに貼り、トラブルを予防している人もいました。こういった機転が大切です」(平井さん)
※女性セブン2018年11月8日号