チェコ・プラハで開催された、オセロの世界チャンピオンを決める「第42回世界オセロ選手権」個人部門で初出場にして初優勝を飾ったのが神奈川県在住の小学5年生・福地啓介くん(11才)だ。
福地くんは両親との3人家族だ。
「お父さんはスラリと背が高く、お母さんは小柄でかわいらしい人ですよ。啓介くんの色の白さはお母さん似かしらね。お母さんはいつもニコニコしていて、教育ママという感じではないんですよ。息子がオセロでいい成績を残していることを自慢している話も聞いたことがありません」(近所の人)
その両親のもと、福地くんがオセロを始めたのは5年前の7才の時。
「両親がオセロをやるというわけではないようです。最初は、お母さんが画用紙でオセロセットを作ってルールを教えると、すぐに夢中になったそうです。最近はパソコンでもやっているようですね」(オセロ関係者)
教室などには通わず独学で腕を磨き、小学1年生の時に出場した小学生大会で優勝するなどめきめきと頭角を現した。日本オセロ連盟事務局専務理事の石本一博さんはこう話す。
「周囲が“打倒福地”という雰囲気になるなかで、5年生の今年も大会を制すると、初めて臨んだ世界選手権で頂点をつかみとったんです」
わずか5年という短期間で世界一になるまでにめきめき腕を上げた背景には、インターネットの存在がある。これまで何度か福地くんと対局をしている2017年オセロ世界チャンピオンの高梨悠介さんが説明する。
「福地くんも私も、対戦相手をつけるのではなく、タブレットやスマートフォンの『iEdax』(Android端末では『DroidZebra』)というアプリで1人で練習することもあります。大会が終わった後も、選手のみんなで町を散策しながら、そのアプリで対局をしていました。そういうときでも福地くんは負けたくないようで、勝てないと表情がみるみる曇るんです。対局で負けて泣いているのを見たこともありますよ」
ポーカーフェースなのは試合中だけのようだ。今回の遠征中も豊かな表情を見せるシーンがあったという。
「試合後、ホテルにあった卓球台を使って、選手仲間と卓球をしたんです。一打ごとに喜んだり悔しがったりする様子は、いかにも小学5年生の男の子ですよ」(高梨さん)
そうしたあどけなさが試合となるとなりを潜め、一気に“超集中モード”に切り替わるのはなぜなのか。
「集中すると食事をする時間も忘れてオセロに没頭してしまうらしいです。声をかけたお母さんを無視しているというよりも、声がまったく耳に入っていないようです。ただ、お母さんは決してそれを止めることはしない。スマホを取り上げたこともないそうです。そんな今やりたいことは、今やらせてあげるという教育方針が、啓介くんの人並み外れた集中力を育てたのかもしれないですね」(前出・近所の人)
今回の世界選手権には、福地くんの両親も同行していた。
「試合に勝つとそのたびに、福地くんはいちばんにお母さんに報告していました」(高梨さん)
福地くんの超集中力を育んだ母の“非・過保護”力。見習いたいけど、意外に難しそう…。
※女性セブン2018年11月8日号