国際情報

中国の不動産「まだまだ伸びる」とする予測の根拠

中国の不動産価格は上がり続けている(写真:アフロ)

 同時代に生きる者がバブルかそうでないかを判断するのは難しい。中国の不動産をめぐっても論争がある。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 中国の住宅需要はまだまだ伸びる──。こんな強気な予測が出されて、都市部に住む人々の間で話題となっている。しかも、それが専門家による予測だというから注目度も高い。噂の主は住宅建設部住房政策専門家委員会の副主任で全国不動産商会聯盟の顧雲昌主席である。

 だが、そもそも都市部における不動産価格は中国の人々の収入に対して高過ぎて手が出ないといわれていて、そこに若者の怒りが向けられているといわれる。この不満は習近平政権にとっても一つのアキレス腱だとさえされるのだ。北京のジャーナリストが語る。

「中国の不動産をめぐるバブルか否かの論争は、この人々の収入と不動産価格の大きな隔たりこそがバブルであり、危険なシグナルとされてきました。一方、不動産価格に対して賃貸の価格も同じように上昇している点をとらえて問題ないとするのがバブルの否定派でした。

 そして問題は、いま中国で不動産王といわれる人物でさえ、なぜいつまでも不動産価格が上がり続けているのかわからないという状況になっていることなのです」

 つまり、なぜ上がり続けるのかわからないまま上がっていることが問題だという。顧主任の発言は、そうした空気の中で飛び出したからこそ大きな注目を浴びたということなのだ。

 さて、では顧主任はなぜ中国の住宅需要は今後も伸び続けるという見通しを立てたのだろうか。根拠の一つはこれまでに供給された住宅の一人当たりの面積である。

 現在、中国で建設された住宅は、一人当たり約1.1戸で、その面積は一人当たり約30平米から40平米だという。この一人当たりの面積は、先進国の基準に当てはめて比べると、だいたい25%から30%ほど狭いというのだ。つまり、それがそのまま伸びしろだという考え方だ。

 また、もう一つの視点は都市化の遅れである。中国の都市化率は現在約42%。これを先進国並みに70%程度にまで引き上げると考えれば、今後も都市部での住宅需要は増え続けるというのだ。未来の予想はともかく、いまでも中国の不動産価格が上がり続けている一つの原因を照らしていることは間違いないのだろう。

関連キーワード

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン