京都大学の特別教授・本庶佑氏(ほんじょたすく・76)がノーベル医学生理学賞受賞を受賞したことで広く知られることになったオプジーボなどのがん免疫治療薬。オプジーボは、『免疫チェックポイント阻害薬』の1つに分類される。
がん細胞は『PD-L1』という分子を、免疫細胞は『PD-1』という分子を持っており、2つが結合すると、免疫細胞は活動が抑えられ、がん細胞を攻撃できなくなる。この対応関係を免疫チェックポイントと呼ぶ。オプジーボが、双方の結合を阻害することで、免疫細胞が再びがん細胞に対して攻撃を始めることが可能になる。
現在、日本国内で承認されている免疫チェックポイント阻害薬は6種類。オプジーボと同じ「PD-1阻害薬」には、「キイトルーダ」という薬が分類されている。こうしたがん免疫治療薬は進行性や転移性などの末期がん、難治性がんへの劇的な治療効果が確認されている。
“夢の特効薬”と呼ばれる2つのがん免疫治療薬について、さらに詳しく見ていく。
◆カーター元大統領も使った
オプジーボは、2014年に“ほくろのがん”とも呼ばれる皮膚がんの一種の「メラノーマ」での使用が保険適用となって、本格利用が始まった。翌2015年には、肺がんの4つのタイプのうち小細胞肺がんを除く、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんという3タイプに適用範囲が広がった。メラノーマは10万人に2人という珍しいがんだったが、肺がん患者は10万人を超える。適用の対象は一気に広がった。医療ジャーナリストの松井宏夫氏はこう解説する。