塩分過多になるというイメージが強いみそ汁だが、最新の研究では必ずしもそのイメージが正しくないことが明らかになってきた。広島大学名誉教授の渡邉敦光医師は2017年7月、アメリカの高血圧学会誌に「味噌のなかの塩分はNaCl(塩化ナトリウム)とは異なる」という研究論文を発表した。
実験でラットに塩分の多い餌を食べさせるとすぐに脳卒中を起こして死亡するが、同じ塩分を含む味噌を加えた餌では脳卒中の発生が遅れ、〈味噌を食べても血圧には影響しないし、脳卒中も遅延する〉と結論づけた。
みそ汁の具材によっても健康への影響は変わる。よく使われるわかめやシジミはどうか。
「わかめはカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富。さらに塩分を尿として排出してくれるカリウムも多く含んでいるので、高血圧予防にいい。オルニチンというアミノ酸の一種が多く含まれるシジミは、毒素を体外に排出して肝機能を向上させ、疲労回復も促してくれます。シジミの身の成分が濃縮されたエキスが溶け出すので、飲み干すのが基本のみそ汁のかたちで摂る意味は大きい」(白澤抗加齢医学研究所所長の白澤卓二医師)
ただ、そうした“よくある具材”だけで済ませるよりも、あまりみそ汁に馴染みのない具材も入れたほうが“かさが減る(たくさん食べやすい)”というメリットをより生かせる。
「カボチャやニンジンを入れれば、βカロテンが免疫力を高め、老化の原因になる活性酸素のはたらきを抑えてくれます。ゴボウは、イヌリンという水溶性食物繊維が含まれるので、腎臓の機能を補助し、免疫力アップにつながる」(同前)