中国マフィアが南アフリカの地元のギャング組織と結託し、南ア沿岸の海でアワビを大量に密漁しており、アワビが枯渇し絶滅する危機が懸念されていることが分かった。被害額は年間で6000万ドル(約72億円)にも達するという。
フランス通信(AFP)が野生生物の取引を監視・調査するNGO「トラフィック(TRAFFIC)」の報告書の内容として報じた。
それによると、南アフリカでは2000年から2017年までの18年間で計9600万個のアワビが密漁されている。とくに、2016年は1年間だけで乱獲されたアワビは960万個に達するなど、「過去最悪の水準での密漁」と報告書は記載している。
このため、TRAFFICは南アフリカのアワビが「絶滅の危機に瀕している」(報告書)と危機感を募らせているが、アワビは2010年に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES、ワシントン条約)」の付属書から削除されている。
これは南アフリカの人々がアワビを食べる習慣が乏しく、中国マフィアの手口が巧妙なためとみられる。
中国マフィアは自身が沿岸に出てアワビを捕獲するのではなく、南アフリカの地元のギャング組織に密漁を依頼している。その報酬として、中国マフィアは覚せい剤を提供しているという。
報告書によると、地元のギャング組織はアフリカ大陸最南端のケープタウン市内の西ケープ州でアワビを密漁しているという。一方、地元の漁業関係者も経済的利益を優先して、ギャング組織に対抗してアワビの密漁に手を染めており、アワビの絶滅の危機に拍車をかけているという。