少子化が進む一方、ペット関連市場の伸びは堅調だが、誰しも動物好きとは限らない。犬好きの妻の多頭飼いは重大な離婚事由になり得るのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
妻との離婚を考慮中です。原因は妻の犬好き。彼女は小型犬を5匹も飼っています。しかも無駄吠えする犬ばかり。結局、眠れなくなり、今ではホテル暮らし。正直、犬のせいで結婚生活が破綻したと思い、彼女に離婚を申し入れたのですが、了承してくれません。犬の問題だけで離婚は成立しませんか。
【回答】
協議離婚できない場合は、裁判離婚によるしかありません。離婚を認められるためには、民法の定める離婚事由として不貞行為、悪意の遺棄や回復の見込みがない重大な精神病の他に「婚姻を継続し難い重大な事由」が必要です。
例えば、暴行・暴言などの家庭内暴力、収入を遊興に使って生活費を入れないなど家庭を放置すること。他にも犯罪を起こし、生活が困窮したり、配偶者の栄誉が毀損された場合、さらには性交の拒否や変態的な性行為の要求など性生活の異常などがあると夫婦間の精神的な結びつきは難しくなり、破綻の原因になります。
ご質問では多頭飼いの結果、2人の関係が破綻して回復できなくなったとのこと。奥さんが飼育に専念し、家事を顧みなくなり、飼育費に家計費を回して生活苦になれば、破綻に近づくかもしれません。しかし、小型犬5匹程度では、そこまでのことはないでしょう。なによりあなたは、奥さんが嫌いになっているのではなく、犬が多いのが障害になっているだけ。奥さんが同意しない以上、離婚が認められることはありません。