最近もいじめや、ブラック企業によるパワハラなどのニュースが続いている。母親なら誰しも、わが子がうまく世の中を渡っていけるか心配になるものだ。
そのために親として、どんな教育をすれば、強く生き抜く力を持たせてあげられるのだろうか?
子供の教育に迷わない母親などこの世にいない。そのうえ、悩みも尽きない。娘のスカイさん(20才)を「全米最優秀女子高生」に育て上げたことで知られ、著書『「非認知能力」の育て方』(小学館)が話題のボーク重子さんが話す。
「いわゆる“お受験”をさせたり、詰め込みや反復主体の塾に通わせるお母さんも多いと思いますが、長らく日本で信じられてきたような、満点を取れば一流の大学に行けて幸せにつながる…そんな時代はもう終わりが来ています。世界に目を向けると、そういった知識偏重型教育、また点数一点張りの人物評価は終焉を迎えているからです」
スカイさんが優勝した「全米最優秀女子高生コンクール」とは、アメリカの女子高校生が知性や才能、リーダーシップなどを競う奨学金コンクール。60年の歴史を有し、高校生を対象とした賞のなかではもっとも名誉ある1つとして毎年、注目を集める。
記念すべき第60回のコンクールはアジア系の生徒が優勝したのは過去3回だけとあって、特に耳目を集めた。
小さい頃からどんな英才教育を施したのだろうと思ってしまうが、重子さんは、「娘に『勉強しなさい』と言ったことは一度もありませんし、九九や算数のドリルをやらせたこともない。鏡文字だって直しませんでした。テレビやゲームを禁止したこともないんです。
わが家が大切にしたことはたった1つ、数字では測れない、見えないもう1つの能力、『非認知能力』を育むことです。それは主体性、責任感、自制心、自己肯定感、自信、回復力、やり抜く力、想像力、柔軟性、共感力や社会性そしてリーダーシップなどの総合的人間力です。非認知能力が育まれれば、目的を見つけやる気をだし、自分からやる子になるので『勉強しなさい』と言う必要はないのです」(以下、「」内の語りは重子さん)
毎日のように、子供に大声を張り上げて叱咤激励する母親たちからすれば、信じ難い話だが「自分の娘が特別だったわけではない」と前置きして、重子さんが続ける。
「人は誰でも非認知能力の要素を持って生まれて来ます。私はそれを伸ばしてあげただけのことなんです」