食欲をそそる香り、ジューシーな旨み…。人気中華まんの中でも、関西のソウルフードとして長年愛されているのが551蓬莱の「豚まん」。
その歴史は70年を超え、3世代にわたってファンという家庭も少なくない。1個1個店で手作りしているため、できたてを味わえるのも人気の理由だ。
「具材(餡)は基本、豚肉と玉ねぎだけ。レシピは創業当時から変わっていません」と、同社営業部主任・八田実紀さん(以下同)。そのおいしさ、こだわりの製法に迫った。
それでは、作り方を見ていこう。
◆豚肉
1日に使われる豚肉は約4t。赤身と脂身がバランスよく入るよう、部位別にカットしたあとミキシング。食感を出すために、ミンチではなくサイコロ状(ダイス状)にするのがポイント。
◆玉ねぎ
肉厚で甘みのある淡路島産を主に使用(1日に約4t)。豚肉同様に、サイコロ状にカットする。“その日のできたて”がいちばんおいしいため、豚肉、玉ねぎともに切り置きはしない。
◆調味料
カットされた玉ねぎと豚肉に、しょうゆ、砂糖、塩などの調味料、でん粉を混ぜ合わせたら、旨みたっぷりの具(餡)が完成する。
◆皮をつくる
皮になる生地は、小麦粉やイースト菌と水などを合わせ、機械で練り上げられたあと、店頭販売用、冷蔵チルド用に分けられる。
◆各店へ
具材と生地は別々に配達され、店で生地を切り分け、包んで蒸す。できたてを届けるため、工場からは1日2~4便、生地が配達される。
◆チルド用
包みたて、蒸したてを店頭で販売するのが基本だが、通信販売やお土産用にチルド製品(冷蔵)も。こちらは工場で製造。
◆包む
包み作業は、店も工場もすべて手作業。「ひだが12~13本だと、見た目も良く食べやすいですね。機械で包むのとは違う味わいです」。
「各店舗では、季節や天候、気温などから生地の微妙な変化を見て、いちばんいい状態で“さぁ、包むで!”と包み始めます」。
包まれた豚まんは、松のシートの上に。「紙ではなく、国産の赤松材を使っています。これもこだわりのひとつですね」。
◆蒸す
木製のせいろで湯気を立てながら蒸され、できたてアツアツが、目の前の売り場で販売される。全店合計の1日の平均販売個数は約17万個。1個170円という手ごろな価格で、地下鉄の初乗り運賃を超えない価格を守り抜いている。実演店売上No.1は、JR天王寺駅構内の店舗。
「この駅に来ると、必ず買って帰ります。家族みんなが大好きなおやつです」(主婦・高見由理さん)。
【中華まんトリビア】
Q.からしをつけたほうがおいしいの?
中華まんの食べ方には地域差があるといわれている。関東から北は何もつけない、関西はからし、九州では酢じょうゆとからしが定番。ソースをつけて食べるという声も。いろんなおいしさを、味わってみて。
Q.おいしく温め直すには?
「チルド(冷蔵)の温め直しは、できれば蒸し器がおすすめです。1個なら10~15分。皮の色も味もまったく違ってきます。チルドを冷凍するのは、生地の水分がなくなりカサカサになるのでおすすめしません」
※女性セブン2018年11月15日号