「社会人が風邪を1回ひくことによる個人の経済的損失は約4.4万円というデータがあり、莫大なお金と時間をロスしているんです」──こう語るのは、医師と経営者両方の視点と経験をもつ裴英洙(はい・えいしゅ)さん(以下「」内同)。現役の内科医、救急救命医、薬剤師などの知見を集めたほか、医療統計データ、最新の医学研究論文や文献を総動員し、最新の風邪対策を編み出した。
多くの人が“なんとなく”やっている風邪予防の習慣の多くは正しくないと、裴さんは説明する。
「医学的にビタミンCには、風邪予防・回復に対するはっきりとした科学的な証明はされていません。風邪予防にとビタミンCだけをサプリメントなどで大量に補給しても、とりすぎた分は尿と一緒に排出されてしまいます。日頃の食事で充分なビタミンCを含んだバランスのよい食事をとることをおすすめします」
医療機関は病気の巣窟。特に冬場の待合室は医療従事者でも怖がるほどだ。
「病院では、発熱や鼻がつまる、せきが止まらないなどの症状を緩和することはできますが、風邪自体を根治させることはできません。つらい症状を緩和させるメリットと、【1】病原菌が多い【2】風邪と免疫が戦って体力が落ちているところで、さらに病院に行くことで余計に体力が落ちる【3】病院に行くことで時間やお金を犠牲にする、という3大デメリットを天秤にかけてみてください」
健康な387人を対象にした調査では、水、うがい薬それぞれを60日間使用し、風邪症状が緩和するか実験をしたところ、水とうがい薬との差異はなかった。
「1日3回以上の水うがいでも、風邪症状が36%減少し、うがい薬との差異は確認できず、水うがいだけでも充分に効果はあります」
うがいは以下の2ステップで行うといいという。
【1】口の中に水またはぬるま湯を含み、正面を向いて「クチュクチュ」と口の中全体をゆすぎ、吐き出す。
【2】口の中に水またはぬるま湯を含み、顔を上に向けて、「ガー」と声を出し、吐き出す(普通のガラガラうがい)。
※女性セブン2018年11月22日号