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「東京・そばの名店」3選 香り高い「秋新」を楽しめる

田舎そば(950円)

 そば職人やそば通が心躍らせる、香り高い秋の新そばのシーズンが到来した。秋に収穫する新そばは「秋新」と呼ばれ、春に早播きし、夏に収穫する「夏の新そば」よりも香りが強く、風味が豊かと珍重される。産地によって異なるが、収穫された実が秋新として店に登場するのは主に11月以降。秋新が人々を魅了する理由を、フードジャーナリストの梅谷昇氏が説明する。

「秋新は夏そばよりも生育日数が長く、実に力があります。秋新の特徴の力強い香りと味を好む人も多い。江戸っ子の“初物好き”も影響していると思います。収穫を祝う秋祭りのような意味合いもあるでしょう」

 そばの実の風味は産地、畑、品種などで異なり、手刈り天日干しがより美味しいとされる。ただ、「そばの香りや味が最も大きく変わるのは製粉方法」と、梅谷氏は指摘する。実に殻が付いた「玄そば」を殻ごと挽くか、殻を除いた「丸抜き」で挽くかだけでも、全く異なる風味になる。

 その加減は各職人の個性であり、今回は自家製粉で独自のそばを表現する東京都内3店を紹介。大地の恵みに感謝しながら、秋の新そばを手繰りたい。

●『利庵』(白金台)
 1985年の開店以来、そば好きはもちろん、地元の住民からも長年愛されてきた老舗。民芸調の店内にはお造りなど酒の肴の品書きがズラリと並ぶ。通し営業なので、ゆるりと昼下がりの一献を楽しむ一人客も多い。

「田舎そば」は茨城県産の玄そばを殻ごと挽き、そばの風味を際立たせる。一方、「せいろう」(850円)は各地の玄そばをブレンドし、殻を取り除いた抜き身を挽き、上品な香りとのど越しのよさを追求する。表情が異なる2種類のそばが看板メニューだ。秋の新そばは11月中旬から、茨城県産、福井県産、群馬県産を提供予定。

・住所:東京都港区白金台5-17-2
・営業時間:11時半~19時半(L.O.) ※予約不可
・定休日:月曜日・火曜日(祝日の場合は営業)

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