ビジネス

トヨタの販売店大改革 全国6000拠点と人員は本当に守れるか

国内販売改革に打って出る豊田章男社長(写真/時事通信フォト)

 トヨタ自動車の業績が堅調だ。2019年3月期(連結)の業績見通しを上方修正し、売上高は過去最高の29兆5000億円、純利益も前期比8%減ながら過去3番目の高水準となる2兆3000億円になる見込みだ。いまや世界販売台数は1000万台を超え、世界有数の自動車メーカーとしての地位は揺るぎないが、足元の日本国内をみると不安材料も多い。佃モビリティ総研代表の佃義夫氏が、トヨタが直面する“茨の道”をレポートする。

 * * *
 トヨタ自動車は、11月1日に名古屋で全国トヨタ販売店代表者会議を開催し、新たなモビリティサービスを提供する販売ネットワークの変革に取り組むことを居並ぶトヨタディーラーのトップと確認した。

 加えて、その一環としてユーザーにクルマとの新しい関係を提案する愛車サブスクリプションサービス「KINTO」(月額定額でトヨタ車の乗り換えサービス)を導入し、来年2019年初めから開始することになった。

 トヨタは、2025年までに全国のトヨタ4チャネル販売店でのトヨタブランド車全扱いに切り替え、そのうえでカーシェアリング事業を立ち上げる。

 このトヨタの国内販売改革は、日本国内自動車市場の成熟化と人口減少に超高齢化社会の到来、若い世代の価値観変化等に対応するためには、従来の複数チャネル販売体制から各地域での販売店による「総合生活サポーター」への移行を図らないと生き残れないと判断したものだ。

 つまり、グローバル化で世界最大市場となった中国が年間3000万台市場に対し、日本はピークの778万台(1990年)から現状で500万台ラインから2025年には400万台も割るとの縮小予測もある。

 トヨタは、国内でトップ販売にあるが、トヨタ4チャネルにレクサスチャネル、さらにトヨタレンタリースと実質6つの全国販売チャネル体制を展開してきた。これは、かつての日本のモータリゼーション進展による右肩上がりの市場においては量産・量販へ複数チャネルが拡販への推進力であった。

 しかし、国内市場は今後とも大きな伸びは期待できず縮小トレンドにあり、かつCASE(ケース/※注)の新世代技術への切り替えに、MaaS(マース)と呼ばれるICT(情報通信技術)を駆使したモビリティサービスへの対応が切迫している。

※注/世界中の自動車産業に大変革期をもたらすといわれるキーワード。「Connected:コネクティッド化(接続性)」「Autonomous:自動運転化」「Shared:シェア(共有)」「Electric:電動化」の4つの頭文字をとったもの。

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン