近年、奄美大島で目的不明の土地取引が活発化している。産経新聞編集委員の宮本雅史氏によると、自衛隊施設を望む高台の土地を、香港資本の総合商社会長A氏が買い占めたり、米国系の企業といわれるB社(奄美市内)が土地を購入してその日のうちに都内のC社に転売したりしている。
彼らの動機や実態はわからないところが多いが、警戒される理由は、これらの地区からは天気がいいと、東方約25kmにある喜界島がよく見えるからだ。そこには中国や北朝鮮、ロシアの通信を傍受するとされる防衛省の「喜界島通信所」がある。
また、防衛省は南西地域の防衛体制強化のため、現在、奄美大島で陸上自衛隊の駐屯地建設を急ピッチで進めている。気がかりなのは、陸自の格調と外国資本らによる土地買収のタイミングが一致することだと、宮本氏は指摘する。奄美大島の現状は以下の通りだ。
◆「年30万人の中国人客誘致計画」を阻止
【芦徳】2016年、上海から九州に向かう大型クルーズ船の寄港地として52万平方メートルを開発する計画が浮上。乗員乗客合わせて1回の寄港で7000人、年間30万人が来島する内容に、「景観が変わり中国人の街になるのでは」「町の人口より多い中国人観光客の受け入れは無理」と住民らは猛反発。計画は頓挫したが、2018年、シンガポール資本と見られる会社が同エリアを買収し高級リゾートホテルを開業した。