大相撲九州場所のチケットがなかなか完売しない相撲協会としては、この人気をどう見るだろうか──。
1か月ぶりに公の場に姿を見せた元貴乃花親方。その集客力は健在だった。この日は昨年まで貴乃花部屋宿舎があった福岡県田川市の「炭坑節まつり」に、市長から任命された「たがわ魅力向上大使」として参加。露店で綿菓子を販売すると長蛇の列ができるなど、例年の倍近い市民が会場に足を運んだ。
“綿菓子職人”として苦戦する元親方を10台以上のテレビカメラが取り囲む。景子夫人も姿を見せ、久々のツーショットを披露。親方の代理で炭坑節の総踊りに参加するといった二人三脚ぶりをアピールし、女性誌が報じる“離婚危機”を払拭してみせた。
露店の隣の土俵では元弟子の小結・貴景勝や十両・貴源治ら、千賀ノ浦部屋に移籍した力士たちがチビッコ相撲に参加。横綱・白鵬の欠場などもあり、九州場所の話題が稀勢の里の復活しかないということもあり、多くの相撲担当記者が取材に訪れた。
元親方の表情は実に穏やかだった。その姿を見たファンから聞こえたのは、「昨年もあんな風に笑っていられたなら、やめるなんてことにはならなかっただろうに」と残念がる声だ。たしかに1年前にこの地で見せた姿とは大違いだった。
日馬富士による貴ノ岩への暴行事件が発覚したのは、ちょうど1年前の九州場所前。宿舎には連日のようにワイドショーのカメラが詰めかけ、貴乃花親方は厳しい表情で無言を貫いた。そして降格処分などを経て9月場所後に退職届を提出。15歳から在籍した相撲協会から離れた。