国内

安倍政策を支配する「内閣官房参与」という妖怪の実態

加藤康子氏は一民間人からいきなり内閣官房参与に(共同通信社)

 妖怪が首相官邸を徘徊している。「内閣官房参与」という妖怪が──「共産党宣言」を彷彿させるほどの不気味さだ。官邸主導が特徴の安倍政権において、民間人の彼らはアドバイザーであり、仕掛け人でもあり、時に重要政策の主導権を握っている──その事実を我々国民はどれほど知っているのか。

 現在、首相官邸には、安倍晋三首相のブレーンで、かつて「成長戦略」担当の内閣官房参与を務めた作家・評論家の堺屋太一氏のような民間人出身の「内閣官房参与」が14人(1人は官僚OB、2人は元議員)任命され、総理執務室がある官邸5階や内閣府の本庁舎に部屋を与えられている。

 内閣官房参与のポストは「大統領型首相」を目指した中曽根内閣時代の総理大臣決定(1987年の「内閣官房に参与を置く規則」)で創設された。身分は非常勤の一般職公務員で報酬は1日3万4200円の日当制。〈参与は首相の諮問に答え、意見を述べる〉と役割が定められている。首相のアドバイザリースタッフにすぎない。

 存在が注目されたのは菅直人内閣時代。東日本大震災で福島第一原発事故が発生すると、当時の菅首相は知人の原子力や放射線の専門家を次々に参与に任命し、官邸には15人の参与がひしめいた。その結果、指揮命令系統の大混乱を招いた。

 当時、野党だった自民党は「参与が多すぎる」と指摘し、「個人的な友人・知人を顧問・参与に任命するなど公私の区別がついていない」と糾弾していた。

 しかし、安倍政権の内閣官房参与の人数も最高15人(今年6月に1人退任)と菅内閣に並び、第2次安倍政権以降の総数は26人にのぼる。

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